島田紳助や大前研一が提唱する
(2019年1月24日メルマガより)



以前、このメルマガで、島田紳助の成功法則について書いたことがあります。


いまから12年前。2007年のことです。

その後、島田紳助は芸能界を引退しましたが、その成功理論の切れ味は失われてはいません。

ご興味のある方はDVDを購入して聞いてみてください。



島田紳助の成功理論とは


かいつまんでいうと「自分ができること・人に勝てること」と「時代の流れ」をクロスさせる。というものです。

紳助のような芸人を例にすると、全員が本音では売れることを目指しています。

そしてそのために、自分の芸を磨き、世間から受け入れられる態勢を整えているのです。

ところが全員が売れるわけではありません。名人級の芸を持ちながらも、たいして売れることなく終わる人もいるでしょう。

これはどの分野でも同じですね。企業でもそう。どこよりも高い技術力を持ちながら、鳴かず飛ばずの会社もあります。

紳助に言わせると、それは運ではありません。単に成功理論を実践していないだけです。逆にいうと、芸の力だけで売れることの方が、幸運だったといわなければなりません。

だから紳助は、漫才というジャンルの流れを読もうとしました。過去に売れた漫才。いま売れている漫才。これらを徹底的に研究し、そのうえで、将来、どのような漫才が売れるかを見極めようとしました。

これが「時代の流れ」です。

「勝負の場は、寄席ではなく、テレビだ」「その際に必要なのは、じっくり聞かせる話芸ではなく、テンポのいいギャグや等身大のキャラクターだ」と読んだ紳助は「ヤンキー漫才」を作り上げました。それが、紳助竜介として一世を風靡したのは、衆知のとおりです。

自分が持っている武器をよく理解し、時代の流れに合わせる。

というのは、すべてのジャンルに応用できる成功理論ではないでしょうか。


大前研一の成功術とは


いまさら、なぜこんな話をするのかというと、この正月、著名な経営コンサルタントである大前研一氏がCS放送で「大前流成功術」というものを紹介していたのですが、その内容が、紳助の成功理論に似ていたからです。

まさか大前研一氏が紳助の成功理論を見たわけではないでしょうし、紳助が大前研一氏の成功術を意識したわけではありますまい。

だけど、紳助も大前研一氏も、論理的思考の権化といった人たちです。彼らが提唱する成功理論や成功術が似通っているというのももっともなことなのかも知れません。


大前氏の成功術は「5年後の世界を予測して、そこから逆算して成功する方法を考える」というものです。

5年後の世界が見えていれば、どうなるのか。

その世界の中で、どのような立ち位置をとれば成功できるのか(有利であるか)を考えることができます。

また五年後に力を発揮するためには、どのようなスキルや知識を身につけなければならないかを知ることができます。

成功への道筋が見えれば、あとはブレずに、コツコツと努力を積み上げていくのです。

5年後、というのが少し具体的ではあるものの基本的には紳助の成功理論と同じだということがわかっていただけるでしょう。


5年後を予測する


この5年後というのが絶妙です。

10年後だと遠すぎて予測しづらい上に、成果が出るまで時間がかかり過ぎます。

3年後だと近すぎてとるべき立ち位置に必要なスキルが間に合わないかも知れない。予測が外れた時の修正も困難です。

そんなわけで5年後に照準を合わせるのがいい。

常に5年後を意識して、毎年、チューニングしていけばいいのです。

とんでもなく予測が外れたら往生しますが、徐々にずれてくる分には修正が効きます。

予測とは、その都度、直していけばいいことなのです。


そんなもん、半年後どうなるかもわからないのに、5年後の世界なんて予測できるか!

と怒る人がいるかも知れません。

本当にそうでしょうか?

実際には、今すでに分かっていることも多々あります。

そうした当たり前にわかっていること、既に見えていることを集めていけば、5年後の予測はとんでもなく難しいものではありません。


ちなみに紳助は、過去流行った漫才といま流行っている漫才を紙に書き写し、過去にくらべて今の漫才は文字数が多いことを知りました。

そこから紳助は「話の間がどんどん無くなっている」ことに気づき、将来の漫才はさらに間がなくなるギャグの連打のようなものになると予測したのだそうです。


第3次産業革命の行方


今から5年後といえば、2024年です。

東京オリンピックの4年後であり、大阪万博の前年です。

その頃になると、世界はどのように変化しているでしょうか。


大きなくくりでいうと、第3次産業革命は、ますます進んでいきます。

(第3次産業革命とは、インターネット技術の進化と再生可能エネルギーへの代替を軸にした産業の変化を示す言葉です)

あらゆる産業においてネットワーク化とデジタル化が進み、産業分野の融合が進みます。

例えば、自動車は自動車メーカーだけが作るものではなくなります。

2020年にも自動運転車が市販されると言われていますが、それが普及すると自動車はコンピュータであり、家電製品であり、AIロボットであり、快適なリビングであり、ベッドルームになります。

トヨタとグーグルが自動車ユニットだけを販売し、それを使ってヤマダ電機やニトリが完成車を作って販売するようになるかも知れません。

あるいはアマゾンで組み立てキットを買って、各人が思い思いの自動車を造って使うようになるのかも知れません。

もちろん自動車だけではありません。

農業も、食品も、飲食業も、金融も、あらゆるメーカーも、サービス業も、卸も、ネットワークでつながり、融合していきます。

既にあらゆる分野のIT化が進んでいますが、これからはネットでつながることを前提とした産業の融合が進みます。

農業と製造業、サービス業と金融、飲食業と建設業といった具合に。

それがミスマッチな組み合わせであればあるだけ、新規ビジネスの爆発力が大きくなるかも知れませんね。


ネットワーク化が進むと、情報が適正化されるので無駄がなくなります。工場や問屋に在庫が積みあがるということもなくなり、全体的なコストが下がります。

大規模な工場や設備も一部企業だけのものとなり、投資コストが大幅に小さくなります。

起業に大掛かりな資本は不要となるので、起業アイデアとマネジメント力を持つ者にとって、チャンスの多い社会になっていくはずです。

楽しみにしていましょう。




世界経済の流れはどうなるか


短期的な世界経済の流れでいえば、減速傾向にあることは間違いありません。

世界銀行の見通しによれば、2019年の経済成長率は2.9%、2020年は2.8%で、ゆるやかに減速していきます。

今年は、ロシアやブラジルなどの新興国の減速がはっきりしています。

中国の動向も危ういです。

中国は、アメリカとの貿易摩擦で追い詰められていますが、内需拡大を急いでおり、現状6.2%の成長を継続できそうです。

ただ輸出が制限されたために内需拡大に走ったのは、かつての日本と同じです。日本の場合、それがバブル経済とその崩壊を招いたわけですが、中国はどうなるのか。

日本の失敗を見ているので、中国政府も同じ轍は踏まないと考えているでしょうが、13億人の国のバブルとその崩壊は、想像すらできないほどの破壊力を持つはずです。

だから隣国のわれわれもよほど注意していなければなりません。

その中国に貿易戦争を仕掛けるアメリカも無事では済みません。

2020年には成長率を大幅に下げる予測となっており、こちらの影響も甚大です。

早くまともな大統領に交替してもらいたいものです。




日本の状況は


日本も世界経済の影響を受けますから、決していい傾向とはいえません。

東京オリンピックが終わるまでは景気拡大は続くと楽観的なムードの強い日本ですが、ブラックマンデー並みのショックがアメリカから来ないという保証はありません。

もしオリンピックまでもったとしても、その後に調整局面が来ることは、大方の予想の一致するところです。

不動産の価格もいったん下がるはずです。

特に首都圏は、オリンピック景気で嵩上げしているだけに、落差の大きな谷が来るでしょう。


大阪はどうでしょうか。

2025年に万博が決まったこともありますが、それ以前から、大阪の経済は好調が続いています。

一つは長い年月続いていた大阪府と大阪市の二重行政の無駄が削がれて、一方向へ進むことができていることです。

万博の誘致もその成果ということができるでしょう。

万博の後、会場の夢洲あたりには、カジノを含む統合型リゾート施設ができると期待されています。

カジノの解禁は、アジアからの観光客を誘致するのに大いに資することでしょう。

いま日本には3000万人を超える訪日客が来ていますが、その恩恵を最も受けるのが大阪です。

大阪といえば永らく地盤沈下著しい地域として有名でしたが、ついに底を打ち復活の道を歩み始めたのだとみることができます。


このまま府と市の一体運営が続き、アジアからの訪日客を取り込むことができれば、大阪はさらに伸びていくはずです。

直近の世界的な経済の減速からは逃れることができないでしょうが、その影響は少なく済んで、2025年に向けて回復していく途上にあると予測します。


私のビジネスの範疇でいえば


もっと大きな視点でいえば、先進各国は、少子高齢化に突き進んでいます。その最先端をいくのが日本です。

私の仕事の範囲でいえば、労働人口が不足するので、人手不足が深刻化します。

それを補うためにはどうすればいいのか。

一つは、女性や高齢者の社会参加です。そのために環境を整備することが必要です。

あるいは、外国人労働者の受け入れです。

いずれにしろ、今と違う人たちを職場に迎え入れるわけですから、様々な労働問題が発生します。

その解決や調整を担うのは、われわれ士業やコンサルタントの役目です。


人を受け入れるだけではなく、効率化し、生産性を上げることも必要です。

仕事の中に、ITやAIを取り込むことで、一人が担当できる量を増やすことです。

営業の仕事ひとつとっても、AIを採り入れることで、作業を効率化させることは可能です。

そのための仕組み作りは、営業の専門家が担うべき仕事です。


人手不足となれば、小さな会社は廃業の危機に晒されます。

総務省の調査によれば、2025年に70歳以上となる中小企業・小規模企業の経営者は245万人になります。

そのうち約半数が後継者不在の事態に陥ると予測されています。

いくら中小企業・小規模企業といえども122万社が一気に廃業すれば、日本経済は壊滅的な被害を被ります。

そうなってはえらいことですから、政府は事業承継の促進を重要課題として進めていきます。

特に小規模企業のM&Aは、これから増加してくるはずです。

会社を定年してもまだ体力気力のある人が、退職金で会社を買って経営者になる、という話は半ば夢物語として語られていますが、これは現実になってきます。

あるいは官民ファンドがいったん買い取って、経験豊富な専門家を経営者として派遣し、道筋をつけた後、従業員ややる気のある若者に引き継ぐ、といったスキームを作らなければなりません。

もちろんその際に経営の役割を担うのが、中小企業診断士を中心とする経営の専門家であるべきです。




それぞれのビジネスに落とし込む


このように5年後の社会予測をそれぞれのビジネスに落とし込めば、どこに役割があるのかを類推することができます。

もちろん全部をカバーするわけにはいかないので、そのうち一つか二つに絞ることが大切です。

私も絞っていますが、いまは秘密です^^

絞った上で、その5年後の立ち位置に向けて、自分のスキルや知識を磨いていくことです。

やはり、5年後のことなんかわからない!

と言う方もいるでしょうが、心配しないようにしてください。

真剣に考えると、いろいろ見えてくるものがあります。

情報も集まってきます。(意識して情報を集めるようになります)

流されて受け身に生きる者と、自分から時代にクロスしていこうとする者とどちらが成功に近づくのか。

それは明白です。


さすが島田紳助であり、大前研一ですね。

今回、「戦略勉強会」でこの成功術を試してみたのですが、その有効性を確信しました。

5年後の世界を予測しながら、いま何をすべきかを考え続けることは、非常に有用です。私はこれを続けていこうと思います。