孫子の時代

コロナ禍も収まりきらない時に、世界を揺るがすような事件が起きました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻のことです。

全くもって気が滅入る事態です。


■ロシアが不穏な動きを見せていることは、数か月前から報道されていました。

ただ侵攻が起きるまでは、いわゆる識者といわれる人たちの殆どは「軍事侵攻はない」「あっても小規模なものだ」と言っていたように思います。

西側の常識に慣れたわれわれは「小さな軍事国家ならともかく、ロシアのような大国が、西側諸国の警告を無視して軍事行動を起こすことはないだろう」と、勝手に思い込んでいたようです。

識者だけではありませんね。各国首脳の慌てぶりをみると、皆が、西側の常識にはまり込んでいたと思えます。

今回、ロシアのプーチンは、その常識に冷や水を浴びせました。


■プーチンは核兵器の使用もちらつかせています。

西側諸国を牽制するためのブラフだと思いたいところですが、今までの経緯からして、実際の使用もあり得ます。

プーチンが精神的におかしくなっているという報道がありますが、そうなると余計に怖い。

地球を破滅させるほどの大量の核兵器を所有する国のトップに、そのような人物が君臨している可能性があるのです。

プーチンを排除すればいいという話でははありません。ロシアが核を放棄することはないでしょうから、今後も、永久に、そのリスクがあるということです。

わかり切ったことだったのに「金持ち喧嘩せず」という常識を何となく信じてきた自分の愚かさです。

いかに世界が不安定であるか、認識し直さなければならないと考えています。


■最近、「孫子」を読み返しています。

「孫子」は、いつ侵攻されるかも知れない戦国時代に、兵法の専門家が、生き残るための考え方や方策を示した書です。

今は、戦国時代ではない、はるかに安定した時代だという思い込みは捨てなければなりません。今も、世界の不安定さは変わらないのです。

「孫子」はこう言っています。

1.戦争は勝敗に関わらず損害が発生する。戦わないで生き残ることが最善である。

2.そのためには、情報を統制し、謀りごとで対処せよ。

3.攻めよりも守りを重視せよ。(表面的な守りではなく、裏側の構造を重視せよ)

4.戦う場合は、落とし所を決めておき、短期に終わらせよ。

このことを、今回の戦争に当てはめれば、様々な示唆があるはずです。

例えば、ロシア、西側双方とも、事前の情報は本当に正確だったのか。交渉のやり方は間違っていなかったのか。

ウクライナは、戦争の防御より以前に、つけ込まれないための強固は政権運営ができていたのか。

ロシアは、どこを落とし所としているのか。長引けば、何が起きるのか。


■さらに我々も生き残っていかなければなりません。

コロナ禍のうえ、戦争により不安定さが増した社会でいかに生き残っていけばいいのか。これも「孫子」が示唆しています。

1.情報を正確に把握すること。コロナや戦争により、何が変化し、自分に影響するのかを知り、確実に対処すること。

→自分が重要だと思う情報は、これからもブログやこのメールで発信していきます。この発信が、実は、情報収集のモチベーションとなっています。

2.守りを固めること。自分の身を守るための最低限の仕組みを確保すること。さらにその仕組みを継続強化すること。

→現在の仕事を維持するため、高度化していきます。

3.投資が必要な場合は、短期達成目標を決めておき、成否を判断すること。

→長期的な大勝負のような投資は、しばらく控えた方がよさそうです。が、しょせん不安定なニッチ市場に立脚していますので、投資ゼロではじり貧です。このあたりの判断が重要になります。

月並みながら、自分が生き残るためには、自分の責任で判断し、行動していかなければなりません。