いまどきの部活

先月の「戦略勉強会」で、「いまどきの部活」という話をとり上げました。

私には、それがけっこう衝撃でした。


日経新聞のシリーズ記事の第1回です。

記事にあるのは東大サッカー部の事例です。

東大の運動部というと、弱いイメージがあります。確かに弱いのでしょうが、彼らが部活動から得ているのは、目の前の勝敗だけではありません。

彼らは、試合内容をデータにとり、分析し、自軍の弱点をつかみ、修正する作業を繰り返しています。

部に所属するデータアナリストは20人。Jリーグのチームよりも多い。さすが東大です。

それだけならまだわかりますが、彼らは、その能力を使って、海外プロチームの分析を受託しているというから驚きです。

そうした活動も含めて、東大サッカー部は、年間予算の2割強を自前で稼ぐそうです。

これって東大だけが特別なのでしょうか。

記事によると、他の大学でも、こうした部活動の動きは広がっているといいます。

プレーだけではなく、組織運営全体を経験する


スポーツにおいて、データを活用し、科学的に強化する方法論が浸透してきています。

今やトッププロだけではなく、アマチュアや中高生にも、科学的なトレーニングの必要性が認識され、とりいれられています。

その際、圧倒的に足りないのが、データアナリストです。優秀なアナリストは引く手あまたの状態です。

東大に関わらず、部活動で身に着けたアナリストとしての手腕は、必ず役に立つものとなるはずです。

かつて部活動の経験は、集団的規律への適正や精神的な強さを担保するものだといわれ、就職活動で有利になるとされたものですが、今は、その程度ではありません。現実的なノウハウや経験を持つ者として評価されるべきです。

データ分析を例として挙げましたが、それだけではありません。東大サッカー部では、プレーだけではなく、様々な役割があるようです。

「試合運営、強化、選手獲得、広報……。同部には19のユニットがある。部員は希望のユニットに加入し、部の運営を担う。(中略)中には地域連携や国際貢献を行うものまである。幅の広さはプロサッカークラブに近い」

つまり、彼らは、部活動を通じて、スポーツ全般、あるいは組織運営全体の経験を積んでいるのです。

授業では学べない実践経験


以前、経営コンサルタントの大前研一氏が「日本は、学校で教えない分野は世界で通用する」と皮肉な発言をしていたことがあります。

確かに日本人が世界で活躍している分野は、ゲーム、アニメ、スポーツ、音楽、料理など。一般の学校では教えない分野です。

好きなことだとしても、自律的に考え、創意工夫し、試す、この繰り返しの経験は、どんなことをするにせよ社会でそのまま役に立ちます。

学校教育から得られる知識や教養は重要ですし必要なものですが、それとは別の実践経験を部活動で得るというのは、理想的な学校教育の姿ではないですか。

こういう話を聞くと、日本の若者も捨てたものではないなと思いますね。

いや、自分もまだまだ好きなことをして、もう一花咲かせてやろうかとモチベーションを高めました。