■富士フィルムというのは、いったい、どういう会社なんでしょうか。
昔は写真フィルムの会社だったはず。
しかしデジカメの普及で、需要がなくなってしまいました。
本業がなくなってしまったわけです。
普通ならここでジエンドですよ。
■ところがこの会社、本業に代わる事業をすごい勢いで探して、モノにしつつあります。
転地経営なんて言っていますが、あきらかに普通ではない。
この会社を率いる古森氏の経営手腕というのは、非凡なんてものじゃないでしょう。想定外です。
私は2007年に、メルマガに書きました(本業がなくなってしまったら)が、あらためて恐るべしだと思います。
■経営に必要なものは、「場所」と「能力」です。富士フィルムぐらいの超一流企業になれば、人材、技術、ノウハウ、資金といった「能力」は十分にあるでしょう。
しかし、本業が突然なくなってしまったら。つまり「場所」(市場、地域、技術分野など)をいますぐ変えないとならない事態に、ほとんどの会社は対応できません。
富士写真フィルムのライバルだったコダックの破綻がそれを示しています。
まさにトップ経営者の力の差だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。
■そういえばノキアも復活の兆しがありますね。
“輪廻転生”の歴史は続くのか ノキア、アルカテル買収の勝算
かつての携帯電話世界トップ企業です。スマホ対応に遅れ、トップの座が守れないとわかると、即座に携帯電話事業を売却し、通信インフラ事業に特化しました。
この決断の速さはすさまじい。それからわずか2年で、通信インフラ業界でトップをうかがう位置にきています。
■たいていは、ソフトランディングを志向して、傷口を広げるものですがね。
「場所」の良し悪しは永続的なものではない。常に状況に応じて、場所を選んでいかなければいけない。というのが、教科書の言うことですが、それを現実にやりきる企業があるわけです。