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勇ましい記事ですね。失われた20年を経て、ビジネスモデルの転換を果たした日本企業の好業績によって、メガ景気がやってくるという内容です。

ナンバーワンから堕ちた日本企業


記事は、日本企業がナンバーワンを追うのをやめて、オンリーワンを志向するようになったからだと言っています。
1980年代までの日本は、導入技術と価格競争力により、世界の製造業主要分野においてナンバーワンの地位を獲得しました。銀行の総資産世界ランキングでも、日本の都市銀行がずらりと上位を独占していたことを覚えています。まさに、ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代でした。

つまりアメリカという先達を模倣し、低廉な労働力と効率化により「安くて良い品」を作ることができた日本企業(特に製造業)は、多くの分野でアメリカを追い抜きナンバーワンの地位を得ました。

ところが、さらに低廉な労働力をようするアジア諸国や、ITや金融の分野でゲームチェンジを果たしたアメリカ企業の反撃により、日本はナンバーワンの地位を失いました。これが失われた20年につながっていきます。

「弱者」であることを受け入れた

では、日本企業はいったい何で稼いでいるのでしょうか。日本企業が稼いでいるのは、「周辺と基盤の分野」です。たとえばデジタル機器が機能するためには、半導体などの中枢分野だけではなく、半導体が処理する情報の入力部分をつかさどるセンサーや、そこで下された結論をアクションにつなげる部分のアクチュエーター(モーター)などのインターフェース、すなわち周辺分野が必要になります。この周辺分野の製品製造に、日本企業は強みを持っているのです。

商品そのものやメインの分野で勝てないと悟った日本企業は、周辺のデバイスなど競争の少ない分野に散らばっていったということですね。

これをオンリーワンというのは語弊があるのではないでしょうか。単に、競合が弱い市場に焦点を当てたということです。

需要の大きな中心部分では勝てないなら、需要が小さくても勝てる周辺市場に目を向けるのは、いわゆる「弱者の戦略」の一つです。

規模に劣る欧州の企業が当たり前のようにやっている戦略行動であり、きわめて合理的です。

むしろ、自分が弱者であると気づくのに20年もかかったんか!と言いたくなりますが、意識を変えるというのは、時間がかかるものなんでしょうね。

移ろいやすい周辺市場では、変化への適応力が求められる


記事の言う通り、日本の企業業績が上向き、日本経済全体も良くなってくるのでしょうね。

ただ周辺市場はあくまで周辺市場です。中心市場よりも移ろいやすい特徴がありますので、気を抜くと、市場そのものが縮小したり、消えてしまったりすることがあります。

常に社会の流れ、技術の進化、市場の状況を見極めて、ポジションを変えていかなければなりません。素早く変化に対応する能力が求められます。

ただその能力を日本企業が身に着けたとすれば、規模は小さいなりに、好業績を残すことができて、これまでのように沈み込むことはなくなるのではないかと思います。

いよいよ日本企業もポジショニング戦略を身に着けだしたということなら、面白い。

規模が小さくてもしたたかに生き残る企業が多くなるはずです。

みんなランチェスター戦略を学んでほしいですね。