ご存じの通り、書籍と雑誌の売上は落ち続けています。
1996年の2兆6564億円をピークに、書籍は44%縮小。雑誌は53%縮小。2016年の売上高は1兆4709億円です。
少子高齢化。ネットによる情報拡散。がその要因でしょう。特に雑誌については、ネット代替率が高いはず。
最近は、定額で雑誌読み放題というネット上のサービスも出てきています。
だから書店も厳しい状況です。町の小さな本屋さんが消えてしまって久しいですが、大手書店も厳しいのは同じです。
丸善ジュンク堂書店は、売上高769億円。当期利益マイナス23億円ですから。(平成29年1月期)
小さな書店は成り立つのか?
そんな中、小さな書店で頑張っている人たちがいるという記事です。面白いですね。
ただ記事を読んでみると、これはビジネスというよりも自己実現の手段ですね。
出版物には、再販制度があり、書店が勝手に値段をつけることができません。その代わり、返品が認められています。ただし、1冊あたりの利益が薄い。
価格競争が起きないかわりに、数を売らないと成り立たないビジネスです。今のように本が売れなくなると、成り立ちません。
ですから書店は大型化していって、薄利多売でビジネスを成り立たせようとしてきたわけですが、今はそれさえも難しくなるほど本が売れなくなってきました。
そこに小さな書店の出番です。小さいので経費が少ない。個人でやっているのであれば人件費もきりつめることができます。
ただし販売量も少ないので、1冊当たりの利益を大きくしなければなりません。
そこで、自分で作った本や雑誌。
同人誌のような本を扱って販売することになります。
ひとり出版社もあります
記事ではひとり出版社も登場します。自分が思うことを書いて本にする。自費出版のようなものですが、それでは売る場所がありません。
図書コードを取得していても、無名作家・弱小出版社の本を書店は置いてくれませんから(なにしろ書店は赤字でそれどころではない)
自分で売り場を探さなければなりません。
そんな時、小さな個人書店は重宝します。利益を厚く設定して卸せば、利益が欲しい書店と、販売場所が欲しい出版社の思惑が一致する。という寸法です。
儲かるビジネスではありません
もとより儲かるビジネスではありません。とりあえず食べていけて、自分の好きなことができればいいかなというビジネスでしょう。
とはいっても、無策に本を並べているだけではひとりの食い扶持も稼げないでしょうから、それそれの個店は個性を打ち出すようにしなければなりません。
鉄道の本ばかり集めるとか。大病から恢復した人の体験談ばかりだとか。歴史の本ばかりだとか。
そのあたりの特殊性、マニアックさのさじ加減が、このビジネスの妙であり、客観的にみて面白いところなんでしょうね。
やっている本人は大変でしょうが。