西川は、室町時代創業というとんでもない老舗企業です。第二次世界大戦後、地域ごと(東京、京都、大阪)に分社化しましたが、2018年に再統合しています。
2021年5月期の売上高は567億円、営業利益1億3400万円です。
市場に影響力を持つシェアではない
日経テレコンによると、寝具市場の規模は6800億円ですから、西川の市場シェアは8.3%。トップだとしても、市場全体に影響を及ぼすほどではありません。
西川は、中期目標として1000億円を掲げていますが、それだと14.7%ですから、市場に一定の影響力を持ちます。
ちなみに新興で勢いのあるエアウィーヴも1000億円を目標にしています。こちらは近々の上場を宣言しており、資金力を得て、西川を追い抜かすかもしれません。(2021年12月期売上高は195億円)
拡販路線からは距離
記事にあるように、寝具市場は、専門店や百貨店の販売から、量販店の販売へ移行しています。老舗の西川は、専門店や百貨店の販売には強かったようですが、現在は、ニトリやイオンなど量販店側がプライベートブランドを作って販売しています。そのあおりか、西川の売上は伸びていません。
PBに売上を奪われてしまうというのは、メーカーの努力不足だといわれても仕方ありません。きつい言い方かもしれませんが、量販店の定番棚を見ればわかります。マーケティング力の強いメーカーは、プライベートブランドに浸食されていませんから。
私はトップブランドならば量販店対応もきっちりすべきだと思いますが、西川は低価格化につながる商品政策はとらずに、「スリープテック」や「サブスク」に取り組み、高級路線を進むようです。
スリープテック市場は3.5兆円の試算
スリープテックとは、ITやAI技術を使って、科学的に睡眠を充実させることです。西川は、パナソニックと提携し、睡眠状況に合わせてエアコンや照明を制御する方法を試みています。
スリープテック市場は急拡大しており、2026年には世界で3兆5000億円の規模に達するという試算もあります。
その分、参入企業も多く、オムロンやタニタ、帝人など、技術力、資金力を兼ね備えた企業が既に参入しています。もちろん前述のエアウィーヴも参入しています。この他、技術系のベンチャーも狙いどころです。だから容易な市場ではありません。
そもそもパナソニックは、西川との提携にどこまで本気なのだろうか。老舗同士の提携なので、いかにも動きが鈍い気がするのは、穿った見方なのかな。
西川がこの市場で生き残るには、いまのブランド力だけでは足りません。スリープテックで確かな実績を作ること、および海外進出するための競争優位性を作ることが必要です。
超老舗企業が、どこまで積極的に投資し、柔軟に取り組んでいけるのかが問われますね。
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