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ネット広告代理店大手のサイバーエージェントに関する特集記事です。参考になります。

ネット広告のフロントランナー


2021年9月期の売上高は6664億円。営業利益1043億円。オンラインゲーム「ウマ娘」のヒットもあり、過去最高を更新しました。

今期は、利益こそ減るものの売上高はさらに更新する予測を立てています。

ちなみに、広告代理店トップの電通グループの売上高は4兆4982億円。2位の博報堂DYHDの売上高は1兆2979億円。

上位2社は規模が違うので、成長の軸を海外に移そうとしています。が、国内でも黙っているわけにはいかず、ネット広告代理店を買収するなどして、サイバーエージェントをミートしています。

そのため、サイバーエージェントは、ネット広告においても、1位の座を電通グループに奪われる結果となりましたが、こちらは成長市場であるためまだ深刻な影響は出ていません。

メディア育成に乗り出す


サーバーエージェントは、1998年、現在の代表である藤田晋氏が立ち上げた会社です。ベンチャー起業ブームに乗った会社の一つだったのでしょう。当初は営業代行などをやっていたようですが、そのうちネット広告に着目、持ち前の営業力を活かして業績拡大、早くも2000年には東証マザーズに上場、その後もトップランナーとしてネット広告を牽引する存在になっていきました。

広告代理店として成長した企業が、仲介業だけでは満足せず、自らメディアを持とうとするのは、他の大手広告代理店も辿った道です。

サーバーエージェントも、AmebaブログやABEMAを立ち上げ運営し、メディアを盛り上げるためのさまざまなコンテンツ作成にも手を広げています。

オンラインゲームも手掛けており、昨今の好業績は、ゲームのヒットによるものです。

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サイバーは「赤字のアベマ」なぜ撤退せず済むのか

現在の売上構成は、ネット広告45%、ゲーム39%、メディア12%というもの。

ゲームはヒット作頼みですから先が読みにくいですが、ネット広告に関しては、まだまだ成長市場です。先行者のノウハウもあるでしょうし、好調が続きそうです。

ABEMAの未来が見えない


しかし、問題は、代表自らが采配を振るうABEMA(AbemaTV)が、年間200億円規模の赤字を続けていることです。

ABEMAは、2016年にテレビ朝日と共に立ち上げたインターネットTVです。基本無料で誰でも見れますが、一部、有料放送もあります。

内容は、スポーツ、報道、ドラマ、アニメ、バラエティと多岐にわたります。多チャンネルで24時間放送。釣り、麻雀、競輪、格闘技などコアなファンがいそうなチャンネルがあるのも特徴です。

亀田興毅や朝倉未来が、喧嘩自慢の素人と闘う特番も人気を集めています。

(ネットなりの過激な番組があるのかといえばそうではなく、広告モデルゆえに、地上波テレビに準じた内容となっています)

特にスポーツには力を入れていて、メジャーリーグや、次のサッカーワールドカップの放映権を取得するなど大きな投資をしています。

週間アクティブユーザーは1000万人に達したといいますが、未だ黒字化の予測は立っていません。

本来、サイバーエージェントは、テレビに代わる広告メディアを作りたかったのでしょうが、テレビは1番組で1000万人近い視聴者を集めます。それだけに達するには、まだ遠い道です。

そこで、有料会員やペイパービューなどを組み合わせた収益モデルを模索しています。最近では、競輪の番組から直接、車券が購入できる仕組みを導入し、手数料収入を得るようになっています。

コンテンツメディアビジネスの可能性を広げる方策として面白いとは思いますが、収益を多線化すればするほど、本来の広告メディアから離れていきます。

広告代理店事業とシナジーが効くように広告メディアとして成立させるのが本来なのでしょうが、そうもいっていられないので、会員制とペイパービューと広告のハイブリッドでいくということなのでしょうね。

もっとも、広告に頼らない動画ビジネスは、ネットフリックスやディズニーやDAZNや、それこそ投資規模が違う競合がいますから、これもまた茨の道です。

広告もあり、有料会員もあり、ってビジネスとして中途半端に思えます。有料会員になると広告がなくなるメディアって、広告の好感度を悪化させると思うのですが、大丈夫なのかな。広告モデルは、諦めざるを得ないのでしょうか。

今は1000億円を超える利益があるからいいですが、さすがに毎年200億円の赤字は、株主も黙っていないでしょう。

しかし、ABEMAをどのように黒字化していくのか。具体的な道筋はどうもまだ見えてないようですね。