ドトールコーヒーが苦しんでいます。
2021年2月期の業績は、売上高961億円。当期純利益がマイナス109億円。
売上高が、前年から26%も下がっているので、大赤字になってしまいました。
記事によると、損益分岐点売上高(利益がちょうど0となる売上高)が、1141億円程度だということなので、ひとたまりもありませんでした。
ドトール側は、「コストを抑えて既存店売上高が前年同月比76〜77%程度でも安定して収益トントンになる構造を目指す」としています。
約4割が都心店舗
ドトールがコロナの直撃を受けたのは、都心の人通りを頼みにするビジネスを展開していたからです。
コロナがなければ、都心の需要を捉えて、自動的に収益が上がる仕組みを作っていました。
が、人通りがなくなれば、厳しいビジネスモデルです。家賃の高い都心の店が、途端に、利益を食いつぶす存在になってしまいます。
店舗の約4割が、都心店ということですから、郊外店へのシフトを進めるといっても、即効性はありません。
コメダのビジネスは成長余地がある
これに対して、スタバやコメダは、郊外への展開を進めてきました。
スタバは、米国本社のプレッシャーがきついのか、店舗数を増やすことに邁進し、結果として郊外店を多く抱えてきました。都心の店舗コストが大きいので、赤字だったと聞きますが、ドトールほどの大赤字ではなかったようです。(上場廃止しているので詳しくはわかりません)
コメダはもともと郊外店志向で、店舗コストを抑えた構造です。メニューも、簡素なのにそこそこの値段をとれるように工夫しており、高利益が見込めます。利益率はおおむね16〜18%。
コメダの2021年2月期の売上高は、288億円。前年比7.6%のマイナスですが、当期純利益は、36億円の黒字です。
コロナ禍の今はともかく、コメダが狙う市場は未だ成長の余地があり、しかも高利益率です。強者ドトールとすれば、これを放っておく手はありません。当然、ミート(模倣)していかなければなりません。
むしろコロナ禍により、構造変革の時期が早まったということで、ドトールにとってはいい機会になったともいえます。
都心店舗頼みのビジネスからの脱却
スタバが日本に参入したあたりから、ドトールは業態の多様化を進めてきました。もっとも、都心型店舗が収益を上げている間は、切迫感がなく、変革のスピードはゆるやかでした。
それが、今回、都心店舗が大赤字ですから、急ピッチで進めなければなりません。いい機会だと思う所以です。
コロナ禍が収まれば、都心店舗は収益化するでしょうから、強者ドトールとすれば、複数の事業の柱を持つ状況ができあがるはずです。
そうなれば理想的ですね。