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ドタバタ劇といいたくなる買収騒動です。


戦略ミスにより低迷


業績低迷のうえ、お家騒動でガタガタしている大戸屋が、敵対的買収を仕掛けられています。

大戸屋といえば、手ごろな値段でおいしい昼食を提供すると人気を集めた和食チェーン店です。

国内約350店舗を擁する一大勢力でした。

ところが創業社長が2015年に急逝してから迷走が始まりました。

もともと大戸屋は、男性常連客も多かった店ですが、「女性」「健康志向」をコンセプトに、メニューや店づくりを変更していきます。

そして2018年には、人件費や材料費の高騰を理由に値上げに踏み切りました。

これが、常連客の離反を招いたようです。単価は上がったものの、客数がそれ以上に減少したために業績低迷してしまいました。

経費の高騰は飲食業全体の問題なので同情すべき部分はありますが、大戸屋の場合、コンセプトの変更そのものが失敗だったと思います。

テレビドラマのようなお家騒動


さらに、後継者問題に関するお家騒動がありました。

大戸屋「お家騒動」の調査報告書が、まるで昼ドラのような骨肉の争い

創業者の長男を社長にしたい創業家と、まだ若いと難色を示す現経営陣との争いです。

なんと、創業者の未亡人が社長室に闖入、遺骨、位牌、遺影を机の上に置いて、現社長を詰問したというのです。

これ、テレビドラマ化してほしいものです。

結局、創業家側は、持ち株をコロワイドに売却したため、予期せぬ筆頭株主の登場に見舞われることとなります。

どちらに理があるのか見えない


コロワイドは、居酒屋「甘太郎」、回転すし「かっぱ寿司」、焼き肉屋「牛角」などのチェーンを傘下に持つ飲食業のコングロマリットです。

2020年3月期の売上高は、2353憶円。(大戸屋は246億円)

大戸屋の業績低迷をみたコロワイドは、セントラルキッチンを取り入れて、コスト削減せよという提言をします。が、店内調理は、大戸屋最大のこだわりのため、受け入れることができません。

コロワイドは経営陣の刷新を要求しますが、拒否され、このたびの敵対的買収に至った次第です。

「大戸屋の現経営陣には、経営を改善する能力がない」というのが、コロワイド側の意見でしょう。

が、大戸屋側も「コロワイドは、買収したチェーンをうまく経営しているとは言えない」と反論しています。

そうなんですな。

かっぱ寿司も牛角も順調とは言えません。うまくいかないものですから、コロワイドの創業会長が、社内報で社員を罵倒する、という事件までありました。

ちなみに、コロワイドの2020年3月期の純利益は約64憶円の赤字。

大戸屋の2020年3月期の純利益は、約11憶円の赤字。

どっちもどっちです。


業績低迷し、道筋も見えない両者が争っているので、正義がどちらにあるのか考えづらい。

しかし、買収そのものは成立しそうだというので、コロワイドが舵を握っていくのでしょう。

セントラルキッチン方式がうまくいくかどうかはわかりませんが、店内調理にこだわる理由も薄いので、いいんじゃないですか、としか言いようがないわけですな。