営業は基本を学べ



(2020年4月16日メルマガより)

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こんな時期ですが、本を出版いたします。

新人諸君!! 「できる営業」になる50のコツ
駒井 俊雄
セルバ出版
2020-04-20



私にとって2冊目の本です。まさか緊急事態宣言下になるとは予想もしていませんでしたので、このような時期になってしまいました。

アマゾンで予約受付中ですので、ぜひご購入ください。(4月20日頃発売)


この本は、営業マネージャーが新人に営業の基本を教えるといったていで、50のコツを分かりやすくまとめたものです。

基本的な部分から、ちょっとしたスキルや秘訣まで、誰でもわかるように書かせていただきました。

入門編ですが、営業について、新人に教えたいことはすべて網羅したつもりです。


■先般から、このメルマガで営業関連の話ばかり続けていたのも、この本を書くために、営業のことばかりを考えていたからです。

この半年、とにかく営業の基本について考えを巡らせました。

いや、もちろん、私は営業に関する仕事をしていますので、営業については普段から考えなければなりません。

が、この本のミッションは、営業経験の全くない新人に、営業に関して伝えるということです。

営業なんて、現場でどう動くかが重要なんだから、現場で覚えるしかないよ、そういわれることもあります。

教科書を学んでも、その通りいかないことがほとんどでしょう。

が、研修時などに新人営業の方に聞いてみると、その現場至上主義がプレッシャーになっていることも事実なのです。

なんで、何も教えてくれないのに、いきなり本番を任せられるのだろうか?

泳げないのに、いきなり海に突き落とすのは、新人教育として適切なのだろうか。と思うわけですね。


■私だってそうでした。

私の上司は体育会系で「できる部下だけ相手にする」と公言している人でした。

おれをイライラさせるな、というのが常套句なので、相談もできません。

子を千尋の谷に突き落とすライオンのような教育方針ですな。

おかげでいっぱい失敗しましたし、回り道をして苦労しましたが、自分なりに勉強することを覚えました。

その上司が、単に部下の育成能力に欠ける「できない上司」だということも後に分かりました。

私にとってはいい反面教師だったと今では感謝しています。


だから、この本には、私が新人の頃に聞きたかったことばかりを書かせていただきました。

かっこよくいうと、昔の自分に対するプレゼントですね。

営業にはすべてにあてはまる根幹のようなものがあります。それが、基本です。

基本をしっかり理解していれば、現場で経験したことの意味を知ることができます。吸収も早いでしょうし、応用ができます。

やはり、最初に基本を学ぶこと。これが大切だと私は考えています。


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営業に関わる仕事をする人は幸運です。

とくに若いうちから営業という仕事ができることは、人生の宝物といっていい経験となります。

私が営業出身だから言っていると思います?

まあ、少しはそれもあるかもしれませんね。でも、本当にそう思っています。


営業ができる人は、どんな仕事もできる


営業は、あらゆる仕事の中でも、最も多様な能力が必要とされる仕事です。

知識も、思考力も、対人関係能力も、人前で話す力も、とっさの決断力も、粘り強い行動力も、高度なレベルで必要になります。

確かに難しいこともある仕事です。

だけど、営業をそれなりのレベルでこなせるようになった者は、ほかのどんな仕事にだってなれます。

営業で一流と呼ばれるようになれば、それこそどんな仕事に就いたとしても、一流の成果を残せるでしょう。

だから若いうちから営業を経験しておくのは、キャリアという意味でも有益なことなのです。


営業はつらい仕事なのか


もっとも、多くの新入社員が、営業に配属されることを嫌がっているのも事実です。

入社面接の時に営業を志望する人も多いのですが、本音ではないでしょうね。実際は、営業になりたくないと思っている者が多いようです。

なんて言っていますが、実をいうと、私も新入社員の時、営業に配属されて憂鬱でした。

昔は特に、営業には、きつい、つらい、というイメージがありました。

顧客の無理難題に耐えて、ひたすら頭を下げて頼み込んで買っていただく、そんな仕事だと思い込んでいました。

営業部の先輩や上司は体育会系体質そのままで絶対服従を強いてくる。ちょっとしたミスも許されません。

なにより営業には販売ノルマがあります。毎日がノルマに追いたてられてようやく達成したと思えば、すぐに次月のノルマがやってきます。達成しないと、落第生のような扱いを受けてしまいます。

私自身が、営業とはそんなつらい仕事だと思い込んでいました。

いくつかは当たっていました。つらいこともありましたし、正直にいって、辞めたいと思った時もありました。

しかし、それから数十年、ずっと営業ひと筋でやってきて、今は営業の本当のすばらしさ、楽しさを理解できていると自負しています。


複雑な案件も、基本的な単位に分解できる


たしかに営業の仕事は範囲が広く、多岐にわたります。

単純作業ばかりではなく、知恵と工夫が必要です。

全体でみると、複雑で難しい仕事に思えるかもしれません。

しかし、その内容の一つ一つは決して難しいものではありません。

少し工夫すれば、だれでもできることばかりです。


優秀な営業はそれを知っています。

どんな大きな企画も、複雑そうに見える案件も、難しくみえる顧客も、細かなパートに分解してしまえば、営業としてやりようがないものはありません。

大きな案件も、仕組みさえ理解していれば、プロセスに分解することができます。

どんなに複雑そうに見えても、分解しきってみれば、単純で基本的なものの集合体であることがわかります。

つまり、基本的なことを積み重ねることで、どんな複雑で大きな案件も解きほぐせるものなのです。

営業に秘訣があるとすれば、基本的なことを着実に実行すること。というしかありません。

ただし、仕組みを理解し、解きほぐすことが必要ではありますが。


テクノロジーを使いこなせる営業は、大きな力を得る


いま巷では、営業不要論がささやかれています。

進化したテクノロジーが、営業に置き換わっていくという考えです。

たしかに一部の業界では、セールステックが導入され、営業の仕事が見直されつつあります。

抱えていた営業人員を減らす企業も出始めています。


しかし、営業をそれなりに極めた人は、心配する必要はありません。

テクノロジーを使うのは人間です。それを使いこなせるのは、営業に精通した人間だけです。

むしろ、どの部分をテクノロジーに任せ、どの部分を人間が担うかを設計できる営業は、重宝されます。

いや、それ以上です。これまでとは比べものにならないほどの大きな力を得ることになります。


新人営業が学ぶべきこと


これから営業職に就く者に必要なのは、まずは営業の基本を学ぶことです。

基本を疎かにしていると、将来必ずしっぺ返しがきます。

研修を受けても、本を読んでも、生きたスキルは身につかない…なんて意見は無視してください。どこにでも中途半端なことを言う輩はいるものです。

まずは座学でも構いません。正統的な知識を頭に入れることです。

そのうえで、現場に出ると、知識が現実にリンクするはずです。何もなしに現場に出るのとでは、身につくスピードが違います。

正しい知識を持っていれば、現場から正しく学ぶことができます。

教科書通りではない場合もあるでしょうが、それぞれが、応用編として肉付けしていけばいいのです。

営業には、どんな現場にもあてはまる根幹があります。それを我々は基本と呼んでいます。

基本は応用が利きます。後進に伝えることもできます。

基本を理解し、現場経験を積んだ営業は、どんな業界でも重宝されることでしょう。


ちなにも、マネージャーになるためには、もう一つ上のランクの知識とスキルが必要になります。

簡単に言えば、営業全体の仕組みを理解し、営業活動を設計する能力です。

が、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。