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メーカーや旅行会社が、飲食店を始める事例をとりあげた記事です。

一見、本業に関係のない「多角化」事例ですね。昔からよくあります。

企業は成長が鈍化すると、別の成長の種を探さなければなりません。放置してじり貧になるのに任せていると、株主から突き上げられますからね。

それに、主力事業で過剰になった人員の振り分け先としての機能もあります。

いまはコロナ禍で、需要が減少しているので、人員が過剰になりがちです。自宅待機させておくよりは、新規事業に挑戦させた方がいいやという判断ですな。

「多角化」は、ほとんど失敗する


ただ、多角化の成功確率は、あまりにも低い。経営学者のマイケル・ポーターは、調査の結果、15%程度だと言っています。

それよりは、既存顧客に新しい製品を販売する「製品開発」や、既存製品を新しい顧客に販売する「新規開拓」の方が、確率がましです。(新規開拓の方が、少し難しいようですが)

それでも企業が多角化に走る理由は、上に書いた理由によります。

ただ、記事に書かれている事例は、該当企業にとっては、ものすごく小さな投資です。地元へのサービスなのか、担当者の趣味なのかわかりませんが、企業側とすれば、そこまで必死になる話ではないような気がしますね。

新規事業に取り組む順番


ただ中小企業が、新規事業に取り組まなければならない時もあります。それは、必死さが高いはずです。

既存事業一筋、愚直にやり続ける方法は、手堅いですが、実はリスクもあります。

先ほどあげたマイケル・ポーターは、既存事業をそのままやり続けて成功する確率は、75%だと言っています。高い確率ですが、それでも25%は失敗するのです。

ですから、「製品開発」「新規開拓」「多角化」は、やっておかなければなりません。

できれば、(1)製品開発(2)新規開拓の順番で取り組んでください。そして余裕のある投資規模で(3)多角化をするというのが、正しい姿勢です。

グー・パー・チョキ戦略


ランチェスター戦略に従うならば、一点集中をしなければならない、という人がいますが、それは間違いです。

同戦略は、ある市場の中でシェアをとることを命題としていますが、その市場が縮小したり、消えてしまうリスクは常にあります。

いくらナンバーワンのシェアをとっていたとしても、拠り所とする市場が消えてしまえば、企業は立ちいかなくなります。

富士フィルムの苦難を思い出さなくてはなりません。

ですから、次の柱となる市場は常に探し続けていく必要があるわけです。

そもそもランチェスター戦略には、グー・パー・チョキ戦略というものがあります。名前はベタですが、その意味は真っ当です。

ものすごく単純化して意訳すれば、一つの柱となる事業ができれば(グー)、その周りに関連する事業をいくつか立ち上げて(パー)、時を見て、モノになりそうなもの以外は切り捨てる(チョキ)という方法です。なんのことはない、成長するどの企業もやっていることだと思います。

常に局面をみて、適切な戦略を選ぶ、という姿勢が必要ですね。