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楽天が西友に資本参加したのが、2020年の11月でした。それから1年以上が経ち、西友の楽天経済圏化が進んでいるようです。

ネットスーパーのプラットフォーマーを目指す楽天


記事によると、店内では楽天ポイントをPRするのぼりが立ち、楽天カードを勧誘するコーナーがあり、スマホアプリを宣伝するチラシが配布されているそうです。

いかんせん大阪には西友が少ないので店は見ていませんが。

楽天は、ECモール大手ですが、ネットスーパーの拡充に意欲を燃やしています。日本の食品のEC化率は3%程度で、世界の18%からは遅れています。ここに商機を見出しています。

西友を母体にネットスーパーに取り組み、プラットフォーマーとして、そのノウハウを横展開する目論見です。既に、楽天全国スーパーという、スーパー専門の楽天市場のようなものを開発しており、ベイシアやいなげやが参加しています。

OMOリテーラーのパイオニアを目指す西友


西友側としても、楽天のデータ分析技術を活用し、商品政策などに活用することはメリットがあります。

西友の売上高は7850億円(2020年)、ネットスーパーは500億円程度だということですが、2024年までに1000億円に引き上げるとしています。

OMO(Online Merges with Offline)リテーラーとしてパイオニアになろうとしています。


西友は、かつてセゾングループの中核企業でした。無印良品やファミリーマートなどは、西友から生まれた企業です。

ところがバブル崩壊でセゾングループが苦しい時期に売却されました。買ったのが、世界最大の小売店である米ウォルマートです。2002年に資本参加、2008年には完全子会社化しました。

しかし、ウォルマートの手法は、日本では通用しなかったようです。西友は赤字から脱却できずに、2020年に楽天などに売却するに至りました。

なぜウォルマートの手法が日本で通用しなかったのでしょうか。

ウォルマートの鉄板手法が通用しなかった理由


同社の象徴的な手法がEDLP(Everyday Low Price)です。毎日安い。チラシなどを配布せずに、毎日低価格で提供する方策です。

目玉価格などがないので従業員は値札を貼り替えたりする作業がなく、手間がかかりません。店内作業を省力化、効率化することで、コストを削減し、それを価格に反映します。

ウォルマートが大きくなってからは、大量仕入れが価格対応力となりますので、ますます強くなっていく算段です。

EDLPは、いまも西友の商品政策となっています。が、他のスーパーも軒並み取り組みました。それが、いまいち競争力につながらなかったのは、日本のスーパーは生鮮食品の割合が高く、思ったほど作業効率化につながらなかったからだと考えられています。生鮮食品は毎日仕入れ、品出し作業が必要ですから。

それに、それほど生鮮食品の割合が高くないアメリカなら、消費者は一度にまとめ買いする行動となり、EDLPが機能します。が、生鮮食品を好む日本の消費者は、まめにスーパーに通う必要があるため、むしろ目先の変わった目玉商品が好まれる傾向にあるようです。

国内でも小さな食品スーパーが戦えるのは、そのためですね。

デジタルで一気に飛躍するか


ただ、日本のスーパーが生鮮品に頼りすぎて、デジタル戦略に遅れてきたのも事実です。

日本のチェーンストアの売上高は、12兆7597億円。このうちイオンだけで6兆1146億円。実にトップ企業が47.9%のシェアを持つ業界で、勝負がついた状態です。

しかし、デジタルとネットでスーパーの新しい形を示すことができれば、西友はOMOリテーラーとして、独自の地位を築くことになります。

楽しみに見ていきたいと思います。