日本のコンテンツが世界を席巻
経団連が、世界の知的財産(IP)の累計収入額ランキングを発表しました。
それによると、今まで最も収入が多かったIPは、任天堂のポケモンです。(921億ドル)
2位は、ハローキティ(800億ドル)
3位、くまのプーさん(750億ドル)
4位、ミッキー&フレンズ(700億ドル)
5位、スターウォーズ(656億ドル)
6位、アンパンマン(602億ドル)
いつの間にか、ディズニーを抜いて、日本が1位、2位を占めているのです。
日本発コンテンツの海外市場は、2022年に4.7兆円に拡大し、半導体市場に迫る勢いです。
経団連は、2033年には、海外市場を20兆円に拡大する計画を立てており、こうなると自動車産業と並ぶ基幹産業です。
アニメやゲームなどのIPは、日本を支える産業だと期待されているのですね。
ネットフリックスが巨費を投じて買いあさる
アニメといえば、2010年に鳴り物入りで始まったクールジャパン構想がありました。
もっとも、それ自体は、失敗に終わったと総括されています。
どうも官が絡むと、日本の産業は育たないらしい^^;
近年のアニメ産業の興隆は、民間のパワーによるものです。
日本のアニメの価値に気づいたネットフリックスなど動画配信サービスは、巨額を投じて買いあさっているそうです。
アニメといえば現場で作業する者に資金が回らず、労働環境が過酷だということが定説でしたが、海外の動画配信サービスは、通常の4〜5倍の製作費を出すという太っ腹です。
現場で作業する人たちにとっては、動画配信サービス様様です。
しかし、ビジネス全体としては、製作費だけ貰って、作品の権利を相手に売り渡すことであり、発展性がありません。
本来は、アニメがヒットすればゲームやグッズなど関連商品に展開し、さらにビジネスを拡大したいところですが、権利を持っていないとそれもできません。
日本が、ビジネスを拡大するためには、自分で権利を保持しておくことが必須です。
それに気づいた日本のアニメ制作会社は、自社制作の作品を自社で海外展開する試みを始めています。
戦略的にビジネスを拡大する知恵を
今年、誕生40周年を迎える「ドラゴンボール」が、海外展開を視野に入れたアニメ制作を始めているそうです。
日本国内だけの収入で満足していた頃は、海外展開はおまけみたいなものでした。
製作費は国内の収入で回収し、海外へはわずかな金額で売り払っていたらしい。
が、これだけ海外市場が大きくなれば、そんな勿体ないことはできないでしょう。
ハリウッド映画のように世界に羽ばたくアニメビジネスが、これから始まろうとしているようです。
アニメを一大産業にする、そのために海外で充分な収益を獲得することを目指す、というのは素晴らしいことです。ぜひやっていただきたい。
が、日本のアニメがこれだけ世界に認知され、普及した背景には、二束三文で売り渡したアニメが世界中のテレビで放映されたことを頭に置いておかなければなりません。
もちろん、アニメの内容が素晴らしく、世界の人たちを魅了する力があったことが大前提ですが、放映されなければ人々の目に触れることもなかったはずです。
普及のための商品と、回収のための商品を分けることは、ビジネスの世界でよく行われる手法ですが、偶然とはいえ日本のアニメは普及商品を長い時間をかけて配布し、それが奏功した形です。
これからは、回収に回ろうぜ、という姿勢は素晴らしいことですが、そればかりになると、徐々に普及率が下がってきます。
認知、普及、本格化、反復化、というビジネスのサイクルを戦略的に作る知恵が、業界全体として必要になってきます。