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少子高齢化が進み、成長鈍化が著しい中国で、家電メーカーが生き残りのための方策を探っているというニュースです。

かつて日本の家電メーカーが見舞われた事態であり、歴史は繰り返すということですか。日本の惨状をみているので、何とか生き残ろうと早めに対処しようという意欲が見えます。


ハイアールは、中国の家電大手、売上高は約3兆5千億円です。

家電の世界トップ企業は、同じ中国の美的集団で、売上高は約4兆8千億円。次に韓国のサムスン電子が売上高約4兆3千億円で続きます。

ちなみに日本の最大手パナソニックの部門売上高は、約2兆5千億円。三菱電機が約1兆円超。頑張っていますね。

少子高齢化に見舞われる中国市場


世界を席巻した日本の家電メーカーが勢いを失ったのは、日本の成長が止まったからです。日本国内の旺盛な需要を捉え、全方位で商品を揃えていたパナソニック(松下電器)は、一時期、鉄壁の販売網を整備した強者の戦略で、盤石でした。

ところが、家電量販店に販売網を弱体化され、さらに日本の成長が止まると、膨張した企業体制を市場に適合させることが困難となりました。成長期の日本の状況に適応しすぎたツケがきたというわけです。

国内市場が小さい韓国のサムスン電子は、商品を絞って集中投資し、戦える商品を世界展開するという方法で、一時期はトップ企業となりました。

が、14億人の成長市場を抱える中国の企業には敵いません。中国の家電メーカーは、海外の家電ブランドを吸収しつつ巨大化していきました。ハイアールは三洋電機やGEの家電部門を買収、美的集団も東芝のそれを買収しました。

かつてのパナソニックほど鉄壁ではないですが、中国の家電メーカーも、国内需要をあてにした企業体制を作り上げて、成長してきました。

ところが、中国市場も成長鈍化の兆しが見えてきています。記事では、不動産市場の低迷が、家電の売上に影響しているとあります。新築が売れないと、家電のまとめ買いがありません。

中国も少子高齢化が凄まじい勢いで進んでいます。かつての日本の家電メーカーと同じ問題を抱えているわけです。これは、いまを乗り越えればなんとかなるという話ではさらさらなくて、今後、さらに深刻化していきます。人口が多いので影響は段違いです。いばらの道どころではないでしょうな。

マインドシェアを上げて、関連市場に参入


ハイアールが取り組むのは、クリーニングサービスです。洗濯機を商品に持つハイアールが、クリーニングの集配を手掛けるというのは、商品販売の邪魔になるのではないかと思いがちですが、うまいやり方だと思います。

洗濯機で対応できないクリーニングを意識するのは、洗濯機の前にいる時でしょう。「なんだよ、この洗濯機使えねーな」と思う時に、「この洗濯機で洗えない商品はこちら→」という文言があれば、連絡したくなるはずです。

ハイアールのサービスでは、スマホで簡単に注文できるということですから、ストレスが少なくてすみます。

このサービスのキモは「何かを洗いたければ、ハイアールへ」というマインドシェアを高めることです。

この想起力があれば、家電を洗いたいとか、家そのものを洗いたいとか、もっと大きなサービスにつなげることができます。

洋服や布団のクリーニングだけなら市場規模が小さいですが、エアコンや、家そのもののクリーンニングとなると、それなりに大きな市場となりますからね。

売上高3兆円を超えるような企業ですから、それぐらいやらないと生き残れません。


日本の家電メーカーは散々苦労した後、自動車関連市場や、医療関連市場への多角化を図りました。中国の家電メーカーも同じような動きをしているようです。

その中で、ハイアールの動きは面白かったので、ここに書いておきました。

その後、うまく展開できるのかどうか、注目したいと思います。