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話題になっている移動スーパーの記事です。

昨日は、都心の買い物難民をターゲットにしたスーパーの話でしたが、これは地方の買い物困難者をターゲットにしたビジネスです。

都心のニッチ商圏を奪い合う小売り業

地方の買い物弱者をターゲットにしたビジネス


移動スーパーとくし丸は、2012年徳島県でスタートしたビジネスです。地方で、高齢のため遠出できないような買い物弱者のために、玄関先までスーパー自身が出向くというサービスを展開しています。

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地域の高齢者にとっては有難い社会事業ですが、人口減少の時代になり、地方には買い物弱者がこれからも増えることが予測され、ビジネスとして有望です。2016年からは、食品宅配のオイシックス・ラ・大地の子会社となり、全国に展開しています。

成長を前提とした優れたビジネスモデル


ビジネスとしては、フランチャイズ形式です。

このビジネスをしたい事業者が、フランチャイズ本部であるとくし丸に、契約金50万円と月々5万円のロイヤリティを支払います。初期費用は、契約金も含めて約400万円。上の写真の軽自動車の購入費用もここに含まれます。

そのうえで、地域のスーパーと契約し、商品を揃えます。委託販売なので在庫負担はありません。店頭価格に10円上乗せしたものが販売価格となります。売上高の17〜18%が事業者、12〜13%がスーパーの取り分となるようです。

とくし丸本部によると、事業者の平均年収は500万〜550万円とか。事業者側が、顧客とコミュニケーションをとり、品揃えを工夫したり、常連さんを増やしたりすれば、売上を上積みできる余地があります。努力によっては、1,2年で初期費用を回収できそうです。

このビジネス、都心にも進出しています。昨日のブログにあった通り、都心でも買い物難民は存在していますから、移動スーパーの需要はあります。

いや、都心は人口が多いだけに、需要も大きい。集合住宅の敷地に停めるだけで、それなりの売上が見込めるはずです。おそらくビジネスとして利益が大きいのは、都心への展開でしょう。コンビニやミニスーパーの競合になりますね。

人口減少によりいずれは縮小する


現在、約950台の移動スーパーが稼働しているそうですが、とくし丸本部は、4,5千台までは増やせると踏んでいます。コロナ禍で職を失った方もおられるでしょうから、受け皿となりえます。

スーパー側にしても、店に来れないような顧客に対応でき、売上の拡大が見込めます。宅配を強化する店もありますが、配送コストを考えると、殆ど赤字です。少しでも利益が出るとくし丸との提携は、渡りに船といったところでしょう。

今のところ、FC本部、事業者、スーパー、買い物困難者、それぞれが得をするいいビジネスです。

ただ、人口減少は続くので、いずれは地域の需要も縮小していきます。その際、規模が大きくなったビジネスをどのように維持するのか、あるいは安全に縮小していくのか、そのあたりの見極めと舵取りが重要になってきます。

永遠に続くビジネスなどありませんので、個人事業主の方はお気をつけください。