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飲料メーカーのダイドーが、「鬼滅の刃」コラボコーヒー缶が大当たりして、増収したという記事です。

コロナ禍で、大手飲料メーカーが減益となるなか、異例のことです。

コラボ缶は全28種類。販売されている自販機では、目当ての缶が出てくるまで買い続ける人がいたとかで、ガチャ状態です。げに「鬼滅の刃」効果恐るべしですな。

「鬼滅の刃」大ヒットで復活するソニー「全集中の戦略」

国内7位の飲料メーカー


ダイドーホールディングスは、国内飲料7位のメーカーです。(1位:コカ・コーラ、2位:サントリー食品、3位:アサヒ飲料、4位:キリンビバレッジ、5位:伊藤園、6位:大塚HD)

2020年1月期の売上高は、1682億円。売上、利益とも、前年比割れしており、状態はよくありません。

飲料部門だけの売上高は、1372億円。国内業界全体が3兆7590億円だということなので、シェア3.6%。これは、クープマン目標値における橋頭保シェア(2.8%)をようやく超えた段階だということです。

売上の8割が自販機チャネル


同社は、1956年奈良に設立された配置薬ビジネスの大同薬品を祖にしています。飲料ビジネスのダイドーが設立されたのは1975年。

祖業に倣って、自販機を主な販売チャネルとしています。現在、売上の8割が自販機だということなので、自販機専業メーカーといってもいいぐらいです。

記事によると、ダイドーの自販機は28万台。全国237万台の中の11.8%。つまり自販機だけに限ると、クープマン目標値の市場認知シェア(10.9%)を超えており、なかなかの位置です。ちなみに、業界5位です。(1位:コカ・コーラ、2位:サントリー、3位:アサヒ、4位:キリン)

酒類が縮小しているのに比べて、清涼飲料の市場規模は拡大し続けています。ただし、コンビニやスーパーでの拡大が大きく、自販機チャネルそのものは、縮小しています。

そんな衰退チャネルにこだわり続ける頑固なダイドーです。

積み上げ式ビジネスは競争に強い


やはり記事によると、ダイドーの自販機売上高は、1台あたり年35万円ほど。1日1000円足らずです。

なんとも小さい売上を積み上げる地道なビジネスではないですか。

ただ、自販機は人手がかからず利益率が高いという特徴があります。しかも積み上げ式ビジネスは、競争に強い。

1度手に入れた自販機網は他社に奪われません。採算がとれる限り、永続的に利益を出し続けます。

中堅メーカーのダイドーがコンビニやスーパーでの競争を避けて、とりあえず自販機チャネルに絞ろうとするのは、理にかなっていると思います。

次の柱を育てられるか


とはいいながら、衰退していく自販機チャネルだけに頼るのは、先行き不安です。

ダイドーは、自販機以外のビジネスの柱を育てようと、海外進出を図ったり、医薬品や食品を拡充しようとしたりしていますが、あまりうまくいっていないようです。

「鬼滅の刃」にいちはやく目をつけたのは、さすがの眼力ですが、これだけで業績が反転するわけではありません。

やはり、第二の柱を育てることが急務です。

あるいは、強みである自販機ビジネスをさらに発展させることです。

コンビニの勢いも鈍化しています。コロナ禍で無人販売の価値が見直されていることもあり、自販機チャネルが再び勢いを取り戻すかもしれません。

その時、専業メーカーとしては、イノベーションの第一線に立たなければなりません。

IoT自販機を導入するなど、布石は打っていますが、成長の道筋までは見えていませんからね。

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今後の展開をみていかなければなりません。