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現在のコロナ禍における営業自粛派と再開派の問題を分かりやすく示した記事です。

それにしても、自粛延長がなし崩し的に行われたことはとてもショックでした。

「5月一杯は 外出自粛や営業自粛 を求める。その後、日本がどうなるかは、まったく分からない。手をよく洗い、食事は横並びで、自衛しなさい」。
政府が言っていることを煎じ詰めれば、こうしたことになる。

自粛延長後、「ゆるみが見られる」など担当大臣や都知事が発言していますが、それ、ゆるみというよりは、我慢の限界、あるいは逆切れではないですか。「5月6日までって言ったじゃーん。もう知るか!」と思いたくなる気はわかります。

自粛こそ皆の生命を守ることだという主張と、自粛を続けたら経済的に死んでしまうという主張がぶつかっていて、それらの主張を検証する数値がないというのが記事で言っていることですな。

まったくその通りです。

経済のダメージを正確に試算できない?

今回、思ったのが、経済に関する数理モデルって、未成熟なんだなあということです。

政府が専門家委員会の意見を聞きすぎるという批判があります。感染症の専門家で構成されている委員会ですから、とかく最悪に寄った数値を出そうとします。「大丈夫だあ」なんて言って、悪い方に外れたら責任重大ですからね。

専門家委員会ではないですが「40万人が死ぬ恐れもある」という試算もありました。そんなはずないやろーと皆思っていますが、専門家の試算なので文句が言えません。

これに対して「経済がダメになる」という意見が弱いのが、感染症の専門家のような数値試算を出せないことです。

経済社会は感染プロセスよりはるかに複雑怪奇なので簡単に試算できない事情はわかります。

が、一方が専門家の手になるシミュレーションデータを出しており、もう一方が「もうだめだ」という一部の経営者の声や倒産増加の兆しがあるってだけでは、どちらに優位性を置きたくなるかって明らかじゃないですか。

要するに、この自粛によりどれだけ経済社会がダメージを受けるか、その期間や範囲によって、ダメージがどのように変わるか、という試算を感染症ほど正確に出す技術はないということなんですね。

だから政府も印象で判断せざるを得ず、2か月程度の自粛ではただちにダメージを受けない人たちが大半なので、世論が形成されて、それに押される形になるわけですな。

これはもう、1年後かそれ以上か、収入が減ったりリストラにあったりする人が過半になるまで、自粛派優勢は続くのでしょう。免疫獲得ぐらいの時間軸かも知れません。


世の経済評論家や学者の方々は、ぜひ奮起していただき、経済社会の動きを正確に予測するシミュレーションモデルを作っていただきたいと思います。

しかし、それができるなら、とうにデフレも克服していたでしょうし、国の借金が積みあがることもなかったでしょう。無理な相談なんですね。