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総合スーパー(GMS)イズミが店舗ごとにROICを導入するというニュースです。

イズミは、店舗数109店、売上高6797億円、中国、四国、九州に地盤を持っています。

ここ数年、売上高は横ばいですが、利益は少しずつ伸びています。

GMSの新規出店はないものの、ネットスーパーの開始や、経費削減が、徐々に効果を上げてきているようです。

その流れとしての、店舗へのROIC導入ということなんでしょうね。ただ、いかにも遅い。30年は遅れているのではないかと感じてしまいました。

ROICとは


ROICとは、「投下資本利益率」のこと。

税引き後営業利益÷投下資本で計算します。

ちなみに税引き後営業利益とは、営業利益から実効税率分を引いたもののこと。税引き後純利益に、支払い利息やその他損益を足すことで求める方法もあります。

投下資本とは、純資産に有利子負債を足したもの。

つまり、その事業にどれだけの資金を投入し、どれだけのリターンがあるかを測る指標です。


似た指標に、ROE、ROAがあります。

ROEは、株主資本利益率=純利益÷株主資本(純資産)のことで、株式投資に対してどれだけのリターンがあるかという株主目線の指標です。

ROAは、総資産利益率=純利益÷総資産のことで、事業全体の収益性をざっくりと示す指標です。

ROE、ROAとも、よく使用される指標ですが、事業者にとってもっと的確な指標はないかということで、ROICが考案されました。

効率化を命題とする総合スーパー(GMS)


総合スーパーが、このような指標を必要としているのは、投下資本効率を上げることが課題となっているからです。

いまの大手総合スーパーの多くが、人口増時代に勢力を伸ばしました。大量に安く仕入れて、大量に安く売ることが、勝ちパターンだった時代を過ごしてきたので、細かな管理は後回しのイケイケになりがちです。というか、細かいことを気にしていたら、競争で後手を踏んでしまいます。私が営業していた時代の総合スーパーは、そりゃあ、イケイケで豪快でしたよ。

ところがダイエーの破綻に見られるように、それではいかんという時代になり、投資効率がいわれるようになりました。最大手のイオンなんて、気を抜いたら、ダイエーの二の舞ですから、効率化に躍起です。また昔の話で恐縮ですが、私が営業していた30年程前は、在庫を減らせ、人を減らせとうるさくなっていました。ただ、計算が先にありきなので、現場が咀嚼できず、単に在庫を勝手に返品したり、メーカーの人員をただで使ったりと、無茶苦茶をやっていましたっけ。いまは、もう少し、スマートになったのでしょうね。

現場での混乱やトラブルが心配


ROICを上げるためには、投下資本を減らすか、営業利益を上げることに注力するようになります。

より少ない人数で、利益が上がる仕事に集中することが求められますし、無駄な在庫、無駄な固定資産を削減しなければなりません。

また売上原価や、販管費を削減することも必要となります。

税金を減らすための工夫もしなければならないでしょう。

ROEやROAよりは、ざっくりしていないので、抜け道が少なく、効率化の目安となる指標です。


総合スーパーのイズミが、いまさらこの指標を導入すると発表したのは、イオンなどに比べて、効率化が進んでいないということなんでしょうね。

田舎なのでのんびりしていたのかもしれない、というと失礼ですかね。

だけど、30年前のイオンのように、計算と現場がミスマッチを起こすことは容易に想像できます。たぶん、仕入れ業者やメーカーとトラブルが起きるのでしょうね。

それでも、やらないよりはずっとましです。逆にいうと、イズミは、効率化の余地がまだまだあったということで、有望だといえるのかもしれません。