Z世代


最近、Z世代という言葉をよく聞きます。日経新聞などでも、頻繁に取り上げられています。

先月の「戦略勉強会」でもテーマとなりました。

Z世代というのは、おおむね「1990年半ばから2010年序盤生まれの世代」を指します。

アメリカでは、ベトナム戦争後を過ごした若者(1960年代半ばから1970年代生まれ)のことを「ジェネレーションX」と名付けた著作があり、ブームとなった経緯があります。

だからその後、1980年代から1990年代半ば生まれの世代を「ジェネレーションY」(またはミレニアル世代)とし、その次の世代を「ジェネレーションZ」と呼んでいます。

要するに、アメリカの世代の捉え方を輸入したのがZ世代です。

Z世代の特徴


日経新聞でZ世代が話題になるのは、主にマーケティングに関することからです。

大消費世代であった団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)、団塊ジュニアの世代(1971年〜1975年生まれ)が消費の主役ではなくなりつつあり、次のターゲットを設定しなければならない現在、Z世代は興味深い対象です。

というのも、Z世代は、それ以前の世代とは違う特徴を持っており、これまでの延長のようなマーケティング施策では対応できないと考えられるからです。

かいつまんでいうと

(1)小さな頃からスマホを手にし、SNSに馴染んだ。そのためマスコミ離れが顕著。

(2)不況の時代を過ごしたため、現実的。ブランドにはこだわらず、内実の機能を重視する。

(3)社会問題への関心が高い。既存企業の欺瞞には敏感。ただし、現実的な妥協もある。

といったところでしょうか。

倫理意識が高いが現実的でもある


先日の「戦略勉強会」では、下記の記事をたたき台にして、話しあいました。


消費剤を扱う企業は、Z世代の動向に敏感にならざるを得ません。

記事によると、Z世代は倫理意識が高く、いくら商品がよくても、社会問題に無頓着な企業を支持しません。

マスコミの情報には懐疑的で、自分で情報を収集しようとします。

ただし、倫理意識が高いといっても「意に沿わない企業の商品は絶対に買わない」という極端さはなく、適当なところで折り合いをつける現実さも持っています。

私の世代への批判や反省


私は、Z世代の特徴をみていると、自分の世代への批判や反省を感じます。

マスコミを妄信し、バブルに踊り、中身のないものに高い価値があるように振る舞ってきた。そのくせ利己的で、社会の問題を先送りにしてきた。

私の世代の悪い部分をいうと、こんな感じでしょうか。

Z世代とすれば、先送りにしてきた様々な問題のツケを払わされる世代であり、前世代は信用できないと思うのは当然だと思えます。

そんな信用できない大人から説教でもされようものなら、関わる価値はないと思うのも仕方ありませんな。

我々の世代は明るい未来を信じられた


「勉強会」では、旧世代からの「Z世代なんてただの苦労知らずだ」という意見も聞かれました。

確かに若いので苦労知らずの人は多いでしょう。が、そういう話ではありません。

私から前の世代は、「アホな上司」ともうまく付き合い、様々な理不尽や矛盾も飲み込みながら、それでも前向きに社会を進めようとしてきました。

なんだかんだと文句を言いながらも、前向きさを失わなかったのは、明るい未来を信じられたからでしょう。それが我々の世代の特徴です。

ただZ世代には、明るい未来なんてのが、虚構に思えているようです。

そうかもしれない。温暖化が進んで、地球の半分が海に沈むかもしれませんし、それどころか明日にも独裁者が核ミサイルのボタンを押すかもしれません。

そんな中、気の合った身近な人たちと穏やかに過ごしたいという気持ちを否定することは私にはできません。

しかも、彼らは、我々が残したツケを払うべく、倫理的に正しい行動とは何かを考えているのだから、立派だと思えます。

Z世代を応援したい


結論をいうと、私は、単なるマーケティングのターゲットとしてではなく、いわゆるZ世代の考えや行動に共感します。

Z世代の考えは、まるでアニメのようだという意見も聞かれました。手塚治虫から宮崎駿に至る社会批判をこめた自然回帰をうたうアニメの精神です。

私が子供の頃、観て、素直に理想だと信じられた世界観をZ世代が受け継いでいるとすれば、それは素晴らしいと思います。

旧世代に社会問題のことを言うと「それが偽善でないなら、ひとりで山奥で暮らせばええやろ」と子供みたいな無茶を言われがちです。

過剰な潔癖さが生産性のない極論に向かうのは、旧世代の特徴だと思います。

それに比べると、何とか現実的に対応しようとするZ世代の方が信頼できるというものですよ。

私自身も反省し、改めるべきところは改めていかなければならないと思う次第です。


ちなみに、Z世代の次は、アルファ世代だそうですよ。

アルファ世代が、どの方向に振れるのか、いまのところはわかりません。私としては、なるべく若い世代にいい影響を与えられる人間になりたいと思います。

って、こう考えること自体、傲慢なバブル世代の特徴かもしれませんね。