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アパレル市場は、コロナ禍で大きく規模を縮小させています。

その中で、紳士服市場は、コロナ前から縮小基調にありましたから、コロナのダメージは受けましたが、まだ耐性があったといえるかもしれません。

徐々に事業転換をするしたたかさ


なにしろ、業界1,2位の青山、AOKIともに、脱紳士服への取り組みが進んでおり、青山で40%、AOKIにおいては50%以上が非衣料分野です。

両社とも、ロードサイド店舗の立地を活かし、事業転換を進めています。青山は、100円ショップのダイソーや焼肉キングのフランチャイジー店を展開、AOKIは、カラオケボックス コートダジュール、ネットカフェ 快活CLUBなどを展開しています。

一気に事業転換するのではなく、バランスを取りながら徐々に進めて、黒字すれすれのところを渡っているのだから、したたかなものです。

この2社に対して、脱アパレルが進まないコナカやはるやまは、赤字が減りません。

危機対応の巧拙が業績に反映されているというべきでしょう。

縮小市場では、ナンバーワン企業でも生き残れない可能性が


ランチェスター戦略では、狙った市場に兵力を集中させて、圧倒的なシェアをとることを勧めています。

41.7%以上のシェアをとった場合、競争上も利益の上でも、非常に有利になるからです。だから成長市場においては、兵力を集中させて、一気にシェアをとることが効果的です。

ただし、市場が縮小すれば、相対的に利益が減ります。市場縮小が急激であると、企業の兵力を賄うだけの利益が得られなくなり、破綻する可能性だってあります。

その場合は、当然のことながら、兵力を養うための市場を見つけなければなりません。

富士フィルムの劇的な事業転換がいい例です。それよりは緩やかですが、青山やAOKIの事業転換も、参考になります。

いずれの企業も、オーナー経営者や、強烈なカリスマ経営者が率いていたというのが、危機のマネジメントの在り方を端的に示していると思いますね。

ちなみに上の記事では、人材を複数事業で戦力化しようとするAOKIの取り組みが書かれていて、その苦労が垣間見れます。

ただし青山もAOKIも、生き延びているというだけの状態ですから、一息つくには程遠い。綱渡りを続けながら、次の基盤となる市場を探していくのでしょう。