ビール販売なし、営業活動一切なしの酒屋 「どこにでもある酒屋」から業態転換し成功(日経ビジネス)

弱者が生き残るための極意は「勝てる場所で戦う」ことです。

それを示す好事例だと思います。

日本酒と焼酎だけで売上高9億円の酒屋さん


記事に登場するのは、広島県の酒商山田。4店舗で売上高9億円の堂々たる企業です。

ビールは取り扱わない日本酒・焼酎の酒屋さんです。

今では珍しくない形態の店ですが、同店が業態転換した1990年代はビール全盛の頃ですから、相当思い切った決断だったことでしょう。

競争しないことを選んだ


業態転換を断行したのが、いまの山田社長です。

「人と争うことが嫌い」だった山田社長は、ビールの需要を取りあう営業に嫌気がさして、「競争しない。広告宣伝もしない」店を目指します。

当時、酒屋の未来像として、ディスカウント店化、コンビニ化がいわれていましたが、そのどちらにも当てはまらない店として、品数を絞った日本酒特化の店を思いつきました。

日本酒は売上低迷していたので、力を入れている店も少なく、競争にならないと踏んだからです。

まさに「勝てる場所で戦う」ことでした。

分野を絞ると、こだわりを貫ける


私の知り合いにも、日本酒に特化した酒店を運営している人がいます。

その方は、売れている酒、美味しいだけの酒には興味を示さず、蔵元の考え方、信念、人柄をみてから扱う銘柄を決めています。

面倒くさいですよね^^;

でもその店で扱っている銘柄は、単に美味しい酒ではありません。酒に対する考え方、米や水や地域に対する考え方がしっかりしたものばかりです。

購入する方も、その店が扱っているのだから問題ないと、絶大の信頼を得ています。

酒商山田が、そこまでしているかは、記事には書かれていませんが、ジャンルを絞ったからこそできる濃いサービスや工夫がいっぱいあったはずです。

大切なのは小さな分野でもトップになること


もし日本酒や焼酎のブームがこなければ、酒商山田は一店舗の地味な存在だったことでしょう。

たまたまブームがきたのは幸運だったといえますが、来なかったとしても、同店としてはよかったはずです。

小さな店が生き残るとは、店を拡大することではありません。自らが選んだ市場の規模で生きていくということです。

重要なのはその市場でトップをとること。すると、市場が続く限り、生きていくことができますし、市場が成長すると、同じように拡大することができます。

いい事例ですね。