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■片道1時間以上の顧客とは取引しない。などという方針をとる企業は実は多いと思います。

が、多くは小売りやサービス業など。地域住民をターゲットとしたビジネスです。

この記事のように機械の設計制作を行う企業というのは珍しい。

■ただその方針は合理的です。

競争が激しい業界においては、顧客と継続的な取引が可能となるような信頼関係を築かなければならない。

信頼関係を作るためには頻繁に接触をする必要があります。

だとすれば、すぐに行けるような場所にいた方がいいわけです。

各地域に支店があればいいのでしょうが、小さな企業の場合は、そうもいかないので、逆転の発想として、近くの得意先だけに絞るという決断です。

■記事の企業では、機械の設計制作をしているということなので、発注先と密に打ち合わせをする必要もあるでしょう。

今はメールもビデオ通話もあるのでその使い方を学べばいい、という人もいるでしょうが、それよりも直接会う方法を考える方が現実的です。

頻繁に接触し、信頼関係を作ることで、ヒアリングの精度も上がり、顧客の問題がどこにあるのかを知ることができるようになります。

有益な提案、顧客満足度の向上、アフターフォロー、継続取引とつながっていきます。

■ランチェスター戦略でいえば、弱者の戦略の一つである「接近戦」に即した方針です。

単にスローガンに終わるのではなく、こうした会社の規定として接近戦をせざるを得ないように仕向けるやり方は、基本に忠実なだけに、効果的な方針であると思います。

目先の受注額に惑わされず、方針を貫くこの経営者は立派です。

そのきっかけとなった逸話も「下町ロケット」みたいでいいですね^^

「あの事件がなかったら、こんな変わった戦略を打ち出すことはしなかった。きっといまだにうだつのあがらない会社だったはず。今となっては、気づきを与えてくれたと感謝している」

と仰っておられます。