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王将の記事は久しぶりですね。

王将といえば、2013年に現役社長が本社の前で射殺されるという前代未聞の事件に襲われ、そのショックからかしばらく業績が低迷しておりました。

昨年あたりから徐々に回復してきており、久々の明るい記事です。

王将の業績回復の理由


記事によると、業績回復の理由は主に3つ。

(1)主要原材料を国産に変えた。

(2)餃子の皮つつみをセントラルキッチンでするようにした。

(3)「王将調理道場」を開設した。

国産原材料の使用


原材料を国産に変えたというのは、安心安全を重視するファミリー層にアピールするものです。

王将じたい学生や労働者をメインターゲットにして成長してきた企業ですが、少子高齢化の時代に適していません。女性やファミリー層を開拓する必要があり、その施策の一環です。

このほかにも、ニンニク抜き餃子をメニュー化したり、女性向けの別業態店を作ったりと工夫をしています。

餃子の皮包みをセントラルキッチンに移管


餃子の皮を店で包まない、というのは、人材対策です。王将はこれまで各店舗で調理することにこだわっており、餃子も皮つつみもその一つです。

ところが店内作業が増えると、従業員の負担が増します。従業員に負担をかけると店の雰囲気は悪くなるし、辞める人も多くなります。労働力不足の現代には厳しい事態です。

王将調理道場


王将調理道場というのは、従業員に料理のコツを教える研修場です。

王将は、良くも悪くも、ラフな運営をしてきており、調理についても現場で覚えろという姿勢を持っていました。だから店によって味がバラバラということもありました。

その分、店側に裁量があり、メニュー開発も自由で、活気を生んでいるという側面もありました。

さすがに、味のバラつきがひどすぎるということで、研修センターを強化したのでしょう。いい部分を残しながら、基本メニューの味は統一しようというわけですね。

日本の飲食チェーン全体に通じる課題


と、こうしてみてみると、王将の課題は、日本の多くの飲食チェーンの課題であることがわかります。

記事には、王将創業者の言葉として

『オレは庶民に、お腹いっぱい食べてもらいたい。そんな店をつくるんや』

と書かれています。しごくシンプルでわかりやすい理念です。実際、学生や労働者が多くいたので、その理念は多くの人の心を捉えたのでしょう。

が、今は違います。人口減少時代であり、労働力不足の時代です。顧客ターゲットも変えなければなりませんし、労働環境や教育制度も変えていかなければなりません。

典型的な問題だけに、その解決方法も、お手本のようですな。

創業以来のこだわりが聖域化しているが…


餃子の皮を店で包む、というのは、創業以来のこだわりだったのでしょうね。しかし、そのこだわりは、どこまで顧客に伝わっているのでしょうか。

これを考えるに、鳥貴族の串うち(鶏肉を串に刺す作業)や、丸亀製麺の店内製麺も、考え直した方がいいのではないか?

鳥貴族の串うちは労働コストを押し上げているし、丸亀製麺の店内製麺は場所の制約となっています。

なんとなく、手作業でする方が美味しい、店内製麺は美味しいと思わされているが、本当にそうなのだろうか。

こういう聖域にメスを入れることも必要なのではないかと思う次第です。