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「『雉も鳴かずば撃たれまい』というが、この人は雉どころか孔雀が羽を広げているようなものですからね」by大前研一氏

もっともZOZOTOWNの前澤社長とすれば、充分な計算の上に鳴いていたのでしょうが。

前澤社長けんめいの話題づくり


月旅行計画をぶち上げたり、ツイッターで100万円を配ったり、キャッチーな話題に事欠かなかった最近の前澤氏ですが、今度は本業の方での不振が伝えられるようになりました。

おかげでツイッター休止宣言をするはめに。

前澤氏とすれば、自分自身が話題になることでZOZOTOWNへのアクセスを伸ばそうという意図があったことでしょう。

量販店化していったZOZOTOWN


ZOZOTOWNはアパレルECの大手です。売上そのものはそこそこですが、利益率が高く、株式市場でも大いに注目されています。

利益率が高いのは、ZOZOTOWNがいわばセレクトショップのEC版だったからです。ファッション感性の高い人向けに、厳選した商品を販売するスタイルです。EC(電子商取引:ネット通販)なのに、購入も配送も返品もスムーズにストレスないように設計されていたので、支持を集めました。

しかし、注目を集めすぎたようです。ECといえばアパレル業界の中でも唯一といっていいぐらいの成長分野です。ZOZOTOWNはその端っこに店と作ったつもりが、いつの間にか一丁目一番地になっていました。

会社は急成長し、地味に堅実に売っていく、というだけでは株主の期待にこたえられなくなりました。だからここ最近は、扱いブランドも多種多様になり、急速に量販店化していったように思います。

前澤社長の涙ぐましい話題づくりも、いかにも量販店のイメージに拍車をかけていると感じます。

各社、自社ECサイトを立ち上げる時期に


最近、ブランドのZOZO離れが話題になっています。直接の理由は、会員向けに常時値引き販売を始めたことが、ブランド価値を棄損する、と判断されたことだそうです。

が、実際のところは、ZOZOTOWNに商品を提供するよりは、自社でECサイトを立ち上げたらいいや、と力のあるブランドが考え始めたということでしょう。

実際、アパレルECサイト黎明期と違って、力のあるブランドメーカーは自社サイトの運営に乗り出しています。

ZOZOTOWNに残すのは、安売りイメージがあってもいいブランドか、シリーズだけということになり、アマゾンのサイトと変わらなくなっていきそうです。

顧客との関係性づくりは失敗したのか?


もう一つ、大きかったのは、ゾゾスーツなるものの失敗だと私は考えています。

自社PB商品を販売するためという名目で、ユーザーの身体のサイズを正確に測定するために、特殊スーツを配布するなんてアイデア、他のECショップは思いつかなかったでしょう。

そこまでユーザーとの密接な関係性を築こうとするZOZOTOWNには、各ブランドメーカーも畏怖したはずです。

ところが、なんだかよくわからないうちにとん挫してしまって、スーツがなくても採寸はできる、なんて言い出しました。

各メーカーも「なんだその程度だったのか」と見くびる気持ちになったとしても仕方ないですね。


まあ、ZOZOは、これからPBを充実させて、製造小売りとして展開していこうというのですから、出ていくブランドがあっても仕方ないことです。

イマイチなPBの販売策を充実させてさらなる発展を期待したいと思います。