わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

高齢者は、経験と低目標を武器に、世にはばかれ!

高齢者は

60歳以上の起業が増えている


先月の「戦略勉強会」では、1人起業について採り上げました。


記事は、東京の事例ですが、シニアの起業が増えているということです。

私は、起業支援も行っておりますので最近の起業者が高齢化していることに気づいています。

昔は、起業といえば、若者の蛮勇が不可欠であるような印象がありましたが、それは過去のことです。

今は、60歳を超えて、慎重に慎重を重ねて起業する人が増えてきています。

しかも、それだけ慎重な分、失敗が少ない。いいことですよ。


最近の高齢者を見ていると元気です。

私が子供の頃は、60歳というと隠居する年齢だとイメージしていましたが、いざ自分がなってみると全然衰えを感じません。

私が通っているジムには70歳代の人もいますが、えらい元気ですよ。むしろ気持ちは20歳代よりも若いかもしれない。

それだけ人生が長くなっているのでしょうね。

だから、60歳そこそこで会社を定年したところで、体力気力を持て余します。働かないと何をするというのでしょうか。


慣れ親しんだ業界の隙間を見つける


高齢者の強みは、経験があることです。

40年近く会社に勤めていると、業界のことに精通しているはずです。

業界の仕組みやルール、顧客、仕入れ先、競合などを把握していれば、起業して一から勉強する必要はありません。

過去の歴史を理解しており、業界の勝ち筋、負け筋を知っていれば、起業後の成功確率を上げることができるでしょう。

だから高齢者の起業は、自分が慣れ親しんだ分野を選択することが基本です。

慣れた業界だからこそ難しさがわかる、という人もいるでしょうが、ここは考え方を少し変える必要があります。

視点を替えて、業界の隙間や矛盾を見つけることです。

既存企業が見落としていたり、気付いているのにスルーしている隙間や、何となく慣習で行っている矛盾を見つけて、そこで起業することを考えてください。

その気になって業界を見てみれば、隙間が見つけられるはずです。

実際、会社員として働いている業界で、既存企業がやっていない隙間分野を見つけて、そこで起業し、成功する事例は多いのです。

ニッチ(隙間)だから、大きな成長は見込めないかもしれませんが、充分にやっていけるぐらいの収益はあげられます。


目標は、低く、短く


高齢者のもうひとつの強みは、目標を低く設定できることです。

若者のように年収〇〇億円と大風呂敷を広げる必要はありません。都心に大きな事務所を構えるとか、美人秘書を雇うとか、アホな見栄を張ることもありません。

年金受給者であれば、月20万円も利益があれば御の字です。

いや、5万円でもいい。暇で何もすることがないよりマシです。

しかも、この先、30年、40年と続けていく必要がないので、永続的な収入が見込めないビジネスでも成立します。

目標が低いから大きなリスクをとる必然性がなく、より成功可能性が上がります。

何を隠そう私が既にその境地にあり、生活に大きな費用が掛かる理由がないので、けっこう余裕です。

嫌な仕事は受けなくて済みますし、無理なリスクを負うこともありません。ストレスは限りなくゼロですな。

目標売上が低いから、実は挑戦ができます。当たれば儲けものという冒険的なビジネスに、力を注ぐことができるのです。

だから、私が突如、突拍子もないことを達成したら「あいつやりやがったな」と思ってください。

それはともかく、高齢者が経験と低目標を武器に、ニッチビジネスをバンバンやり出したら、それだけで日本の競争力は増しそうですよ。

直木賞作家 今村翔吾は、なぜ書店経営に乗り出したのか?

今村翔吾

ノリに乗っている小説家


先月の「戦略勉強会」では、直木賞作家今村翔吾氏の書店経営についてとり上げました。


今村翔吾氏は、いま、ノリに乗っている時代・歴史小説作家です。

デビューしたのが2017年。それから5年後の2022年に直木賞を受賞。

とにかく筆が早く、既に40冊近く出版されています。直木賞以外にも様々な文学賞を受賞されています。まだ40歳ですので、活躍はこれからでしょう。

今村氏が面白いのは、作家活動以外にも精力的に動かれていることです。

その一つが書店経営です。

大阪、佐賀、東京で、本丸書店を開業されています。

なぜ大活躍中の作家が、書店経営に乗り出したのでしょうか。


シェア型書店+コミュニティビジネス


本丸書店は、通常の本屋さんと違って、棚を作家や企業に貸し出すシェア型書店です。

月4850円〜9350円のサブスク契約で、棚を一枠借りることができます。

雑貨などにたまにあるビジネスモデルですね。

利用者は、借りた棚に自分の好きな本を置けます。自費出版した本を並べてもいいでしょうし、推しの本を並べてもいい。企業が自社PRのために使用してもいい。

クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と提携しており、店内のデザインは佐藤氏が手掛けたものなのでしょう。

いい感じにクールな店内に自分の好きな本を並べられるのだから、価値があると思えます。


棚の値段を考えると、利用者がそこで利益を上げるのは難しいでしょう。

利用者は棚を、PRの場であるか、自己実現の場として使用することになります。

今村氏は、このビジネスのもう一つの側面を「本が好きな人たちのコミュニティ」として、棚主限定で年12回のイベント(作家のトークショーやサイン会など)を開催するとしています。

年間約9万円から11万円で、オフ会込みの本好きコミュニティに参加できるとすれば、悪い取引ではないように思えます。

本丸書店は、今のところ、黒字を維持しているようです。


トッププレイヤーとしての使命感


今村氏がこのようなビジネスを手掛けるのは、出版業界を盛り上げたいという気概があるからです。

出版が斜陽産業であることは、周知の事実です。若者の活字離れが進み、もはや回復は手遅れといった感があります。

その中に身を置く今村氏とすれば、死活問題です。もしかしたら、今村氏のようなトップ作家は生き残れるかも知れないが、縮小市場では競争は激しくなるばかりだし、どれだけ勝っても実入りは少なくなります。

どの業界にあってもトッププレイヤーは、市場そのものを拡大発展させていく使命があります。今村氏が産業全体を盛り上げようとするのは至極健全な使命感です。

私は今村翔吾氏のYoutubeやインタビュー記事なども拝見しましたが、一作家に止まらない問題意識をお持ちの方だとお見受けしました。

時代小説作家として女性の読者を増やすにはどうすればいいのか。活字離れの若者に本を読んでもらうためにはどうすればいいのか。

それこそ、Netflixのような配信動画や、Tiktokのようなショート動画を研究し、その方法論を自分の小説にとりいれ、マーケティングの参考にしていると発言していました。

そのバイタリティには感心しますし、作家としての能力が充分ありつつ、マーケティングの才覚もあるスケールの大きさに驚きました。

上の記事によると、新人作家の育成も手掛けており、将来的にはインバウンド向けの歴史テーマパーク構想も持っているとのこと。

そのビジョンの大きさは稀有です。ビジネスは浮き沈みがあるものですが、そんなこと気にせずに、ビジョンの達成に向けて邁進していただきたいものだと思います。



ヴィレッジヴァンガードは、なぜかつての輝きを失ったのか?

ヴィレッジヴァンガード


独特の世界観を売る店


先月の「戦略勉強会」でヴィレッジヴァンガードをとり上げました。

元ネタはこちらの記事です。


変わり種の本屋さんとして人気の高いヴィレッジヴァンガード(ヴィレヴァン)が、業績を悪化させ続けているということです。

ヴィレヴァンは1986年創業。本屋の店員だった創業者が、本と同時に、雑貨や楽器やジャンルの違う商材を同時に陳列し、本屋らしくない本屋をはじめて話題になりました。

私が見たところ雑貨屋にお洒落な本が置いてある印象です。

本を売りたいのか、雑貨を売りたいのかよくわからない。でも、本と雑貨の相乗効果で、独特の世界観を作り出すことができます。

店主の陳列のセンスが問われますが、ばちっとはまれば、世界観が深まり、モノの価値以上の特別な何かを購入しているような気分になれます。

出版不況の中にあって、書店関連で勢いのあるのはヴィレヴァンだけという人気を博し、2003年には株式上場を果たしました。

ちなみに、ヴィレッジヴァンガードとは、ニューヨークの老舗ジャズクラブの名前です。創業者のセンスを表していますね。


成長・拡大するうちに魅力を失った


ヴィレヴァンの魅力は、その世界観の演出です。陳列は、各店舗の店長に委ねられ、それぞれが好きな陳列で表現するスタイルでした。

初期のヴィレヴァンには、その運営方針に賛同したセンスのいい人材が集まりました。店舗を増やすことで、彼らの活躍する場を提供するというプラスの拡大が見込めました。

だから店によって陳列も表現する世界観も違います。違うからこそ魅力があるというものです。

全国各地の店舗を訪ね歩き、それぞれの違いを楽しむようなコアなファンもいたらしい。

ただし、株式上場することで、一気に店舗を増やしすぎたきらいがあります。

店舗数の増加に人材育成が追い付かず、独特の個性が店舗に反映されなくなったようです。

今やヴィレヴァンは、ショッピングモールの定番店舗となり、どこにでもある冴えない雑貨屋になってしまった感があります。

2024年5月期の決算をみると、売上高は約247.9億円で、前期の約252.8億円から約2%の減少。営業利益は9.15億円の赤字で、11.4億円もの最終赤字となっている。

不調は、店舗数にも現れている。一時期、ヴィレヴァンは全国に400店舗ほどを展開するまでになった。しかし、現在ではそこから100店舗ほどが閉鎖。2024年5月期こそ、店舗数は純増1となったが、それ以前の3年間はそれぞれ9、16、11店舗の減少。

このまま赤字が続けば、スピンオフショップを含めても、300店舗を割り込みそうな状況になっている。

上場企業としてはお粗末なことになってしまったようです。


成長のステージごとに変化するのは必然


では、どうすればよかったのか。

記事では、店舗をここまで急激に増やさずに、独特の陳列センスが全店に発揮できる範囲に止めておけばよかった、あるいは、センスを継承するような従業員教育がほしかったといわれています。

それはその通りでしょう。ということは、成長を求められる株式上場を選んだことが間違いだったということです。

成長・拡大を目指したために、初期の輝きを失ってしまうチェーン店は多く、その度に繰り返される議論ですね。


ただ、一部、成長・拡大を目指しながらも、極端な赤字に陥らない企業も当然ながら存在します。

例えば、「ドン・キホーテ」を擁するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスはどうでしょうか。

ドン・キホーテも、初期は、圧縮陳列を最大の特徴とする「何が並べてあるかわからない宝探しのような楽しみがある」バラエティショップでした。

ところが今は、むしろ「定番品がやたら安い」「季節品はさらに安い」王道ディスカウントショップです。

店舗数が多くなれば、現場担当者の能力を均一に担保できなくなるのは当然で、初期のような圧縮陳列、現場仕入れだけで立ちいかなくなるのは仕方ないことです。

そうなると、本部の管理力が求められることになり、ガバナンスをつくり直さなければなりません。

成長のステージに応じて、企業の在り方を変化させていくというのは、必然のことなのです。

ユニクロも同じ。宇部の小さな店舗から世界企業になっていく過程では、目まぐるしく店舗の特徴を変えてきた歴史があります。


ユニクロ
杉本 貴司
日経BP
2024-04-04


ということは、ヴィレヴァンは、成長のステージにおいて、うまく変化することに失敗したのではないかと思えます。

最近では、各店舗での仕入れは復活しつつあるというが、取材をしていると「たしかに仕入れはできるが、売り切らないと、翌月の予算を下げられてしまう」という話も聞く。「それじゃあ誰もリスクを取らないよ」という感じだ

こうした声からは、本部と現場の関係がうまくいっていないことが伝わってきます。

環境が変わると、企業の在り方を変えなければなりません。徹底して現場主導を貫き通すのか、あるいは本部主導の新たな強みを作るのか、決めるのは本部です。

要するに、今は本部の戦略が機能していないと言わざるを得ません。

げに成長は難しい。

これは成長の過程であって、そのうち本部の戦略が機能しだすと思いたいものですな。

上の記事とは違う結論ですが、「戦略勉強会」で話し合ううちに、こうした見解を持つに至りました。

国際競争力がダダ下がりの日本で、我々は何をすべきなのか

国際競争力


日本の国際競争力は先進国最低レベル


これ、近年の定番のようになっている話題ですが、スイスのビジネススクールIMDが毎年発表している世界競争力ランキング2024年の日本の順位は38位でした。

昨年は35位でしたから、順位を下げたことになります。

昨年だけではなく、日本はずっと順位を下げ続けています。

実をいうと、このランキングが始まった1989年から1992年まで、日本は1位でした。

しかし、1993年からは順位を下げ続け、いまや38位。

台湾、中国、韓国はおろか、東南アジア諸国の中でも、日本より順位が下の国を探す方が難しくなっています。


このランキング、「ビジネスの効率性」、「政府の効率性」、「インフラ」、「経済状況(経済パフォーマンス)」の4大項目に基づき分析・評価が行われています。

日本は全部低いのですが、特に「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」が最低レベルだということです。

どうやら日本は、政府でもビジネスでも柔軟性が低く、効率が悪いと評価されているようです。


都合の悪いことは否定する姿勢


この話題、ずっと前からなされていました。

1993年、日本は1位から落ちた際にも、由々しきことだと話題になっていた記憶があります。

その時、記者の質問に、ある政治家が「外国の機関が決めたランキングなんて関係ない」と答えているのをテレビで見ました。

その時、私はまだ経験の浅い会社員でしたが、さすがに、政治家がこんなことを言っているようでは、将来暗いぞと思ったことを覚えています。

外国の機関の評価を手放しに有難がる必要はありませんが、悪い部分を指摘されたとして、これを盲目的に否定する態度は教養ある人間の発言だとは思えません。

その悪い予感の通り、日本は順位を下げ続け、同時に「日本は素晴らしい国だ。外国人にわかるわけがない」と言い続ける人たちを見てきました。

その声はむしろ大きくなっており、日本の弱点を指摘されると、ヒステリックに「外国はもっとダメだ」と八つ当たりのような声を上げる人が増えてきたように感じています。

こういう内向きの姿勢が競争力の低下につながっていることに気付かなければならないと思います。


若者が内向き志向になるのでは


上の記事によるとIMDは「世界人材ランキング」も発表しており、日本は43位。

最も低いのは、人材の「国際的な経験」で文字通り最下位とされています。

確かに、アメリカのビジネススクールでも、かつては日本人ばかりだった留学生が、いまや中国人にとって代わられていると聞きます。

それどころか海外旅行に行く若者も減っているとか。

国力が低下すると為替も弱くなるので海外に出にくくなるのは当然で、今後も、日本の内向き指向は続くのでしょう。

今は、日本は安全でいい国だと思われているかもしれませんが、このまま国力が低下すれば、それも維持できなくなります。

日本の豊かさや安全は、過去の人々の努力の上に構築されたものだという当然のことに鑑みて、このまま放っておくと、日本の良さはかなりの部分失われてしまうだろうことを知らなければなりません。


自分ができることは何か


とは言いながら、私も偉そうなことは言えません。

私は外国語は出来ませんし、海外でビジネスをした経験も殆どありません。

60歳を超えた今、海外旅行に行くことも億劫になってきています。

そんな私ですが敢えて言います。

内向きにならずに、外に目を向けてください。

少なくとも、海外の情報に触れて、日本のフィルターを通さない世界の見方を知ってください。

幸い、日本は海外の情報を遮断していません。インターネットでいくらでも接することができます。

できれば英語の動画を見ることができればいいですが(日本の英語教育の役に立たなさよ)できなければ仕方ありません。

活字ならば、今は翻訳機能も優秀になっていますので、海外の記事を読むことは可能です。

たったこれだけでも、日本で全く報道されない海外の話題を知ることができて、驚くことがあります。

感情的に尊王攘夷を叫んでいた幕末の志士たちも、ある時期から変節し、海外の情報を得て学ぶことで日本の近代化を実現させたではないですか。

海外の情報(なるべく偏らず)に触れた上で、今の日本や自分がどういう位置にあるのかを理解すればいいと思います。

無知蒙昧にさえならなければ、自分が何をするべきか、正しい判断ができるだろうと信じます。

コメダ珈琲店は、なぜ急成長し、国内3位のコーヒーチェーンとなったのか?

コメダ珈琲


日本で3位のコーヒーチェーン


先月の「戦略勉強会」では、コメダ珈琲をとりあげました。

コメダ珈琲は、1968年開業。もとは名古屋の喫茶店でしたが、1990年代からFCチェーン展開を開始し、今では、売上高、店舗数ともに日本3位のコーヒーグループチェーンとなりました。

(1位はスターバックス、2位はドトールグループです)

ちなみにコメダという名称は、創業者の実家が米穀店だったことに起因しています。

その創業者は既に退いており、持ち株も全て売却したと聞いています。

2010年以降のコメダ珈琲の勢いは凄まじく、日系、アジア系のファンドから資金を得て、全国展開を加速していきました。

現在、国内外のグループ店舗は1000店を超えています。店舗売上高は、約810億円となり、2位のドトールに肉薄しています。


「居心地のよさ」と「フードの美味しさ」


なぜコメダ珈琲はこれほど急速に受け入れられたのか。

アンケート調査によると、スタバやドトールに比べて「居心地のよさ」が評価されています。

これは私も感じます。どこか懐かしいロッジ風の内装は、私のような年齢の顧客には安心感があります。

その上、席づくりがゆったりしているので、長時間滞在しても罪悪感を覚えません。

見渡すと、勉強や資料作りをしている人が見受けられて、プライベート空間の強固さがうかがえます。

このあたり低価格ゆえに回転数を高めなければならないセルフのコーヒー店と異なるとろです。

この評価ポイントを正確につかんだコメダ本部の戦略が的確だったということでしょう。


もう一つ「フードが美味しい」と評価されています。

スタバやドトールが「コーヒーが美味しい」と評価されていることに比して、こちらはフードです。

確かに、コメダのコーヒーは、あまり美味しいとは言えません。その分、食べ物で勝負しているようです。

かといって、豊富なメニューを取り揃えているわけではありません。基本はパンやシロノワールなど看板商品にトッピングを添えることでメニューを豊富に見せているだけです。

ただし異常に量が多い。メニューの写真よりもかなりボリュームのある商品が来るので驚きます。

フードが評価されているのは、ボリュームも込みなのだと私は思っています。

強みが明確なところが、コメダの強さになっています。


コストを抑えるシステム


コメダ珈琲の店舗のほとんどはFCです。本部は、ロイヤリティと食材卸で稼ぐ仕組みです。

コメダ珈琲は、店舗構築等に1億円近い初期投資がかかると言われていますから、それを回収するためには利益を上げなければなりません。

店舗が儲からなければ、本部も立ち行かなくなりますから、儲かる仕組みはとても重要です。

まず、フードやコーヒーは、コメダの自社工場で生産し、直接店舗へ卸す形をとっています。本部としてはそこで儲けているわけですが、中間業者を挟まない分、店舗側は安く仕入れることができます。

またメニューが単純であることもコストを抑える要素です。在庫管理も簡単で済みますし、調理オペレーションがシンプルなので、人材調達や育成に多大なコストがかかることはありません。

店舗立地も、一等地よりは住宅街や生活道路沿いを選んでいるので、こちらもコストが抑えられています。

こうしたコスト低減効果により、初期投資は7,8年で回収できるということなので、FCオーナーも安心できます。

結局、月並みですが、消費者へのアピールポイントが明確で、コストが抑えられていることが、コメダ珈琲の成功要因であると言えそうです。


慎重に成長


コメダ珈琲には、今のところ、大きな問題は見当たりません。

店舗数が1000店超といっても、大都市圏以外は店舗数が少ないですから、まだまだ出店余地があるといえます。

海外展開は進んでいませんが、国内で成長余地があるので、焦る必要はないでしょう。

出店を急ぎ過ぎていないことも好感が持てます。

いくら成長余地があるからといって、無茶な出店をすれば、いきなりステーキのような破綻を招くかもしれません。

が、コメダ珈琲は、今のところ、慎重です。コメダで休憩しようと思っても、店舗が少ないので、探し回らなければならないほどです。

もう少し店舗があったらいいのにと思いますが、そこは企業の事情もあるのでしょう。

消えかけた町が復活した理由

町が復活

消滅可能性自治体の島


先月の「戦略勉強会」で、隠岐・海士町(あまちょう)の事例をとりあげました。

※次回の戦略勉強会は7月24日(水)です。

島根県の境港から連絡船で4時間の場所に位置する離れ島。かつては後鳥羽上皇の配流地となったこともあるところです。

消滅可能性自治体だと目されていたこの島が、今、消滅の危機から脱しつつあり、地域振興の象徴のようになっています。

いったいこの小さな島に何があったのでしょうか?


町長の身を切る改革


海士町が最も落ち込んでいたのが2000年頃。最大7000名いた島民が2000名ほどに減少していました。

世帯数は約1000。出生数は毎年10名程度で、少子高齢化を絵にかいたような島です。想像するに、日本全国にこのような田舎は、いっぱいあるように思えます。

きっかけは、2002年に改革派の山内道雄町長が誕生したことだったようです。

この方、海士町の生き残りをかけた「自立促進プラン」を策定、その端緒として、自身を含む町役場の人件費を大幅にカットしました。

町の三役の賃金をカットするのは当然として、職員たちも自ら賃金カットを申し出たというから、島全体の危機意識は相当のものだったのでしょう。

役場職員の本気度をみたのか、町民からも各種手当を返却する動きがあったといいます。

こうして捻出した費用を地場産業の振興や子育て支援に回していきました。


よそものの視点をとりいれる


海士町が産業振興に取り組む上で特徴的なのは、町民以外のよそものの目をとりいれたことです。

「町民は、島にある隠れた資源に気付きにくい。よそものなら発見してくれる」といって、「商品開発研修生」なる制度を発足。

これは、半年ほどの短期滞在で、給与をもらい加工や販売の業務を担当しながら、島の「宝探し」をするというものです。

転職サイトなどでこの制度を知った全国の人たちが、この制度を利用して島に滞在し、それぞれの目線から島の魅力を発掘していったようです。

当然ながら様々なバックボーンを持つ人たちが集まりますから、多様な目線で見ることになります。

生まれたのが、「さざえカレー」「隠岐牛ステーキ」「干しナマコ」「瞬間冷凍いか」など。

これらを全国で販売。「干しナマコ」などは高級食材として中国に販売しているようですが、これも流通に詳しい研修生がいたからこそです。


元からいる住民との軋轢は?


産業が立ち上がると同時に、研修生の中から島に移住する人たちが増えてきたといいます。

特に移住者のための補助制度はもうけていないということですが、今や、町民の2割が移住者だというから、大したものです。

海士町は、今後、人口がV字回復していく予測を立てています。

ただ、もとからいる町民は、移住者のことをどう思っているのでしょうか。

日本全体で考えても、移住者や移民者を敵視する人たちがいます。よそものは犯罪をするものだと決めつけて、排他的であることを正当化しようとする人までいます。

元の島民と移住者の間に、トラブルや軋轢はないのか。この部分に関しての記事は探しても見つからなかったので、実際のところを知りたいものです。


そうはいいつつも、勉強会内でも、一度、海士町に訪問してみたいという声が上がるほど、すばらしい事例でした。

「戦略勉強会」にぜひ一度、参加しましょう!

戦略勉強会に参加しましょう

20年続く勉強会


株式会社クリエート・バリューでは、月1回の「戦略勉強会」を開催しています。

もう20年近く続く老舗勉強会です。

コロナ禍以降は、zoomによるオンライン参加にも対応しており、参加される方の地域も広がっています。

ぜひ一度、参加してみませんか。


各自がビジネスのヒントを見つける


「戦略勉強会」では、ビジネスに関連するネタ(ビジネス誌の記事など)をこちらで準備し、事前配布させていただきます。

勉強会に参加される前に読み込んでいただくとより有意義に参加できると思いますが、時間がなくて読み込むことができな場合でも、当日、皆で読む時間を作りますので、問題ありません。

実際、常連メンバーの殆どは、当日になって記事を読むスタイルです。その方が、新鮮さがあっていいらしいですよ^^;

記事を読んだ上で、それらビジネス関連の話題について、感じること、疑問に思うこと、連想することなどを自由に話し合っていただきます。

私も意見や見解を述べますが、私の考えを押しつけようとは思いません。何が正解かわからないのがビジネスですからね。

様々な意見や分析を聞いて、それぞれが、自分のビジネスのヒントになるようなことを見つけていただければいいなと思っています。


当月の主要ニュース


そんなネタの一つに、「当月の主要ニュース」というコーナーがあります。

勉強会がある月の主だったニュースを私が独自にピックアップして紹介する趣向のコーナーです。

たとえば、2024年5月の主要ニュースは、こんなラインナップでした。(抜粋)

・東京ガス、レノバに13%出資 178億円で第2位株主に

・賃金増、物価になお追いつかず 実質賃金23カ月マイナス

・JR東日本、「Suica経済圏」再構築 金融サービスに参入

・米クラウド3社、日本へ投資4兆円 オラクルは1.2兆円

・メタ、新型生成AIを無償開放 7倍賢くSNSとも連携

・アルファベット、時価総額2兆ドル(315兆円)突破 史上5社目

・ビッグモーター買収、伊藤忠などが600億円で 250店承継

・富士フイルム・コニカミノルタ、事務機再編の第2極へ

・介入観測で円乱高下 NY市場156円台、「円安傾向続く」

・家電「白高黒低」鮮明 洗濯機10年で3割高、テレビ4割安

・Netflix最高益、ハリウッド超え1強 ただ乗り禁止で復活

・ソニーGなどが米パラマウントに買収提案 4兆円規模も

・外食、円安対策で海外店舗4割超 すかいらーく全米50店

なるべく特定のジャンルに絞らずに、広くピックアップしているつもりです。

タイトルは、日経新聞の記事から抜き出したものです。内容については私が簡単に解説をさせていただいております。


ビジネスに関する大まかな流れを掴む


無軌道に記事を選んでいても、こして並べると、だいたいの流れがわかるから面白いと思います。

例えば、米IT大手の業績が軒並み好調なのは、生成AIの発展が背景にあります。

この月はありませんでしたが、エヌビディア好調というニュースも常連です。

ところが欧州各国は生成AIの進化を警戒しており、規制をかけようとしています。

そこでGAFAM各社の投資は、規制のゆるやかな日本に集中する流れです。

日本に資金が入ってくるのは喜ばしいことですが、マイナス面をも受け入れなければならないことは承知していなければなりません。

(情報がGAFAMに筒抜けになる。GAFAMにビジネス上の優位性を与えてしまう。未だ見えないマイナス面の実験場になる。。。)


こんな感じで、毎月の主要ニュースを確認していきますので、とりあえずは大まかな流れはつかめるのかなと思います。

日本の国力が低下する中、自分たちは何をしていくべきか

日本の国力

止まらない円安


円安が止まりません。一時は、一ドル160円に至りました。

去年の今頃は130円程度だったから、20%以上も円が安くなったことになります。

円安がいいか悪いかは一概には決められません。

輸出業者にとっては追い風です。インバウンドは盛況です。

が、輸入価格は上がります。日本は資源がない国なので、原材料やエネルギー価格が上昇し、物価を上げる要因となっています。

メリット、デメリットがあるので評価は難しいですが、あまりにも急激な為替の変化は対応に困ります。


日本の国力はこのまま低下していくのか


今回の円安で気になるのは、日米の金利格差だけが要因ではない、日本の国力が落ちていることも要因だ、という声が聞こえてくることです。

簡単にいうと、日本に魅力がないので、円に需要がない。だから、円が安くなるというわけです。

日本の国力が低下しているという話は最近よく聞くことです。

GDPでいうと、日本は現在アメリカ、中国に次ぐ3位ですが、今年中にもドイツに抜かれるという話があります。

さらには、2025年にはインドに抜かされることが確実視されており、そうなると日本は世界5位。ジャパン・アズ・ナンバーワンと称された時代は夢のまた夢になってしまいました。

人口規模の大きいインドに抜かれるのは仕方ないとして、8300万人のドイツに抜かれるのは、生産性が低いからです。(日本の2023年度1人当たりGDPは23位)

給与水準でいうと、2020年の日本の平均給与は世界で21位です。アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスなど欧米先進国だけではなく、韓国よりも低い。

高度人材に限ると、アジア諸国よりも給与が低いと言われています。

人口減少が進むのは避けられないことなのですから、生産性(1人あたりが稼ぐ力)を上げなければ、日本はこのまま先進国から脱落していくことでしょう。


日本全体がゆでガエルになりつつあるのか


なぜ日本は世界から取り残されようとしているのか。

欧米のメディアも不思議に思っているようで「日本人はなぜ平然としてるのか?」という論調の記事を見ます。



いずれの記事も言っていることは似ています。

日本はもう何十年も経済の低迷に苦しんできたが、国民の生活は安定しており安全も確保されている。

だからなのか、日本人には変化に対する抵抗と、過去への執着がある。

それが、政治の停滞をうみ、経済成長を阻み、人口減少を加速させている。

簡単にいうと、日本全体がぬるま湯に浸かった状態で危機に気付かず、ゆでガエルになりつつあるのではないか?という指摘です。

海外メディアの言い分をなんでも聞くつもりはありませんが、かといって全て否定するのは建設的ではありません。

今回は、彼らの言うことに一理あると感じます。

何せ私自身、もう60歳ですから、このまま何もせずに悠々と過ごしたいという気持ちがあり、今さら変化を受け入れたくないというのが本音です。

できれば古きよき日本が未来永劫続いていくという夢を見ながら終焉を迎えたい。ゆで上がる頃には私もボケているでしょうから、幸せな人生だったと言いながら死んでいくのだと思います。いわば逃げ切り世代です。

困ったことに投票行動しているのは私より上の世代が多いものですから、政治は危機感を持ち得ません。

自分ができることは何か


逃げ切れる私が言うのも何ですが、このまま急激な少子高齢化が進めば、日本は大変な惨状を迎えます。

ようわからんが、ロボットやAIが何とかしてくれるやろう、と適当なことを言って思考停止するのも楽でいいですが、さすがにそこまで無責任にはなれません。

子ども世代に少しでもマシな人生を送ってほしいと思うなら、私も何かできることをしなければならないと思うのは当然です。

そんな暑苦しい使命感などない、という人でも、自分自身を守る努力はするべきです。結果として、その努力が社会全体を底上げすることになります。

ビジネスに関わる私ができることは、生産性(1人当たりの収益)を上げる努力です。

自分自身、少人数でも高い収益を得られるような事業を運営すること。ひいてはコンサルタントとして、そのような事業者を増やすこと。

つまり、弱者の戦略を正しく運用できる組織や事業者を増やすことだと考えます。

人には役割がありますからね。特に私のような年齢になると、残りの人生でできることは限られています。

今から大層なことをやれ、難しいことに取り組め、と言われると、勘弁してくれと逃げたくなりますが、今までやってきたことの中から、できることを探して取り組むことなら無理ではありません。

そんな程度のことでいいと思います。

聞く耳だけは持ち、依怙地にならないように気をつけながら、

それぞれが、自分のできることに焦点を絞り、努力していくべきだと考えます。

世界に通用するコンテンツとなったゴジラの展開はどうなるか

「ゴジラ-1.0」がアメリカでヒット


アメリカのアカデミー賞で日本の映画「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞を受賞しました。

視覚効果には絶対の自信を持っているハリウッドの大作映画を押しのけて、日本の低予算映画が受賞するのは快挙というほかありません。

「ゴジラ-1.0」は、日本伝統の特撮方法を駆使して、知恵と工夫でハリウッド映画に負けない迫力を出すことに成功しています。

噂によると、スティーブン・スピルバーグ監督が3回も観たというから、大したものです。

映画全体の内容も素晴らしい。

70年前に公開された「ゴジラ」第1作の本質を踏襲しており、恐ろしい怪物としてゴジラを描いています。

アメリカでの評価も高く、シリーズ最高傑作として、ヒットしているそうですよ。

内容さえよければ、日本の映画でもアメリカでヒットするのだということを証明しました。


今や海外に通用する希少なキャラクター


ゴジラ第1作が公開されたのは1954年。戦争の記憶が生々しく残る時代に、核実験の影響によって無敵化した怪物は、恐怖の象徴として描かれました。

1作目のゴジラを観た黒澤明が「2作目は俺に撮らせろ」と乗り気になったという話がありますが、当時の東宝は許しませんでした。

やはり怪獣映画はイロモノ扱いだったのでしょうね。

その後、東宝のゴジラは、子供のヒーローになったり、また恐ろしい怪物になったりを繰り返し、若干迷走気味に展開していきます。

ところが、そんなゴジラ映画が(おそらく安い価格で放映権を販売したのでしょう)海外のテレビなどで放映されて人気を博しました。

スティーブン・キングの小説にも、子供時代の恐怖の思い出として、ラドンが登場するぐらいですから、それなりに浸透していたのだと思います。

このあたり、たたき売りされた作品が海外のテレビで人気になり、世界に浸透していった日本アニメの状況に似ています。

今や、ゴジラはハリウッドでも映画製作されるようになり、日本出自だと知らない人もいるぐらいです。


海外展開の本格化はこれから


日本が誇る世界的コンテンツであるアニメとゴジラが、似たような形で世界に浸透していったというのは面白いことです。

私が子供の頃は、親から「マンガと怪獣ばかりみているとバカになる」と言われたものですよ。

そんなアニメとゴジラが、21世紀になって外貨獲得の大きな手段になっているとは、誰が予想しえたでしょうか。

よく「政府が関与しない業界は伸びる」と言いますが、「良識ある大人が眉を顰めるコンテンツは伸びる」というのも言い得るかもしれませんな。


現在、東宝はゴジラを「知的財産の宝」と位置付けて、ゴジラの世界展開をビジネスの柱にしようとしています。

映画からゲーム、グッズ、デジタルに展開していくのは、ソニーが得意ですから、そちらが参考になるでしょう。

東宝は、一度はハリウッドに売り渡したグッズなど商品化の権利を買い戻したと言いますから、総合的な展開を考えているのでしょう。

ゴジラビジネスをどのように進めていくのか、東宝のお手並み拝見といったところです。

業績回復を支えるバーガーキングの「大喜利力」

バーガーキング

バーガーキングの業績が急回復


先日の「戦略勉強会」で、バーガーキングの事例をとりあげました。


しばらく赤字続きだったバーガーキングの業績が急回復しているらしいです。

もっとも、バーガーキングといえば、日本上陸と撤退を繰り返してきた歴史があり、業績急回復したといっても、これを以って日本に定着したと言うわけにはいきません。

ちょっとした波がきている程度かもしれませんね。


全米2位のハンバーガーチェーンによる弱者の戦略


バーガーキングは本国アメリカでは、マクドナルドに続く第2位のハンバーガーチェーンです。

といっても、だいぶ引き離された2位です。

弱者企業ですから、販売戦略も弱者らしい突飛な手を打とうとしてきました。

例えば、マクドナルドが「健康に気を遣ったハンバーガー」のイメージを打ち出した時は、バーガーキングは「うちのハンバーガーは健康に悪い!」と言い出しました。

どうせハンバーガーを食べるのだから健康を気にせず美味しいものを食べてください、という意図のキャンペーンです。

健康に悪いというだけあって、そのハンバーガーは、いかにもニクニクしい味わいで、食べ応えがあります。脂分が多くて、カロリーは高そうですが。

悪ノリじみた逆張り戦術ですが、潔さが一部に受けて、コアなファンを掴んでいます。

日本から全撤退した時期も、ヘビーなファンは、米軍基地内のバーガーキングに通っていたという伝説がありましたから。

しかし、マクドナルドも強者企業として手を打っています。

バーガーキングの本格志向が受けると見るや、マクドもグランシリーズなど肉厚を売りにする商品を投入して、バーガーキングの特徴を消しにかかりました。いわゆるミート戦略です。

ミートされると弱者企業は困窮します。もともと優位性に乏しいので、打つ手が限られてしまいます。


悪ノリのようなリスキーなやり方


弱者企業は一般的に資金に余裕がないので、大々的な広告キャンペーンを打つわけにはいきません。

そこでじり貧のバーガーキングが取った手は、またもや悪ノリの施策です。

2020年に同チェーンが行ったのは、店舗数が少なく利便性が悪いという欠点をネタにしたものでした。

彼らは「店が遠くて不便だというお客様の声に応えられないので、お客様自身が店の近くに引っ越しください」と言って、不動産紹介を始めたのです。

さらには、ツイッター(X)で、「店を増やしたいので物件を紹介してください。成約したら10万円差し上げます」というキャンペーンまで始めました。

これを大真面目にやるのだから、ファンは「いつものバーガーキングのノリだ」と大喜びしたようです。

マクドナルドのような強者企業には、こんな炎上リスクの高い施策はとてもできないでしょう。

弱者だからこそのリスキーなやり方ですが、実にうまくSNSを使ったものだと思います。


SNSを活用して、ファン基盤を強固にする


ちなみに、勉強会の中では、バーガーキングの商品そのものに対する懐疑的な意見がありました。

メインのハンバーガーは美味しいが、サイドメニューがしょぼい、というものです。

私は年齢的に、バーガーキングもマクドも食べないので、わかりませんが、こういう声が出るということは、本格的な業績向上はまだ遠いのかなという気はしますね。

しかし、メニュー開発や質の向上には時間がかかりますし、資金も必要です。

その前に、コアなファンをつなぎとめようとする同社の工夫には感心しました。

と思っていると、小さな企業の中には、SNSをうまく使って、まるで大喜利のような訴求をしているところが多くあるようですね。

はなまるうどんは、ダイオウイカの天ぷらを始めたとかいったとんでもない投稿をツイッターに上げていました。(10メートルぐらいあるので、店に入り切りません)

ただしこれはエイプリルフールの投稿だったので、バーガーキングほどのインパクトはありません。それでも、受けたみたいですが。

その他、小さな企業の例を挙げたらきりがないので、探してみてください。

資金のない弱者企業にとって、多くの見込み客に訴求することができるSNSは、大きな武器となります。

必要なのは大喜利力とでもいったものでしょうか。

日本のアニメが世界展開を本格開始 自動車産業に並ぶ基幹産業へ

日本のアニメ


日本のコンテンツが世界を席巻


経団連が、世界の知的財産(IP)の累計収入額ランキングを発表しました。

それによると、今まで最も収入が多かったIPは、任天堂のポケモンです。(921億ドル)

2位は、ハローキティ(800億ドル)

3位、くまのプーさん(750億ドル)

4位、ミッキー&フレンズ(700億ドル)

5位、スターウォーズ(656億ドル)

6位、アンパンマン(602億ドル)

いつの間にか、ディズニーを抜いて、日本が1位、2位を占めているのです。


日本発コンテンツの海外市場は、2022年に4.7兆円に拡大し、半導体市場に迫る勢いです。

経団連は、2033年には、海外市場を20兆円に拡大する計画を立てており、こうなると自動車産業と並ぶ基幹産業です。

アニメやゲームなどのIPは、日本を支える産業だと期待されているのですね。


ネットフリックスが巨費を投じて買いあさる


アニメといえば、2010年に鳴り物入りで始まったクールジャパン構想がありました。

もっとも、それ自体は、失敗に終わったと総括されています。

どうも官が絡むと、日本の産業は育たないらしい^^;

近年のアニメ産業の興隆は、民間のパワーによるものです。


日本のアニメの価値に気づいたネットフリックスなど動画配信サービスは、巨額を投じて買いあさっているそうです。

アニメといえば現場で作業する者に資金が回らず、労働環境が過酷だということが定説でしたが、海外の動画配信サービスは、通常の4〜5倍の製作費を出すという太っ腹です。

現場で作業する人たちにとっては、動画配信サービス様様です。

しかし、ビジネス全体としては、製作費だけ貰って、作品の権利を相手に売り渡すことであり、発展性がありません。

本来は、アニメがヒットすればゲームやグッズなど関連商品に展開し、さらにビジネスを拡大したいところですが、権利を持っていないとそれもできません。

日本が、ビジネスを拡大するためには、自分で権利を保持しておくことが必須です。

それに気づいた日本のアニメ制作会社は、自社制作の作品を自社で海外展開する試みを始めています。


戦略的にビジネスを拡大する知恵を


今年、誕生40周年を迎える「ドラゴンボール」が、海外展開を視野に入れたアニメ制作を始めているそうです。

日本国内だけの収入で満足していた頃は、海外展開はおまけみたいなものでした。

製作費は国内の収入で回収し、海外へはわずかな金額で売り払っていたらしい。

が、これだけ海外市場が大きくなれば、そんな勿体ないことはできないでしょう。

ハリウッド映画のように世界に羽ばたくアニメビジネスが、これから始まろうとしているようです。


アニメを一大産業にする、そのために海外で充分な収益を獲得することを目指す、というのは素晴らしいことです。ぜひやっていただきたい。

が、日本のアニメがこれだけ世界に認知され、普及した背景には、二束三文で売り渡したアニメが世界中のテレビで放映されたことを頭に置いておかなければなりません。

もちろん、アニメの内容が素晴らしく、世界の人たちを魅了する力があったことが大前提ですが、放映されなければ人々の目に触れることもなかったはずです。

普及のための商品と、回収のための商品を分けることは、ビジネスの世界でよく行われる手法ですが、偶然とはいえ日本のアニメは普及商品を長い時間をかけて配布し、それが奏功した形です。

これからは、回収に回ろうぜ、という姿勢は素晴らしいことですが、そればかりになると、徐々に普及率が下がってきます。

認知、普及、本格化、反復化、というビジネスのサイクルを戦略的に作る知恵が、業界全体として必要になってきます。

日本のアスリートはなぜ世界に飛躍しているのか

日本のアスリート

日本でなぜアスリートは元気がいいのか


先月の日経新聞に「大谷翔平ら日本のスポーツ選手躍進が示す若者の可能性」という記事が掲載されました。

これが面白かったので、先月の「戦略勉強会」で話題にさせていただきました。

この記事で提示される疑問は「社会が停滞する日本でなぜアスリートは元気がいいのか」ということです。

メジャーリーグで史上最高額の契約を締結した大谷翔平。

本場欧州リーグで活躍するサッカーの久保建英や三笘薫。

ボクシングでは、欧米のメディアから「世代で最高の選手」と称されている井上尚弥。

少し前ですが、フィギュアスケートオリンピック2大会連続金メダルの羽生結弦。

世界に飛躍するスーパースターがスポーツの世界には何人もいるのに、政治や経済の世界ではあまり聞かないのはなぜなのか。

この記事では端的に答えています。

「競技ごとの事情はあるにせよ、全体として言えるのはスポーツはお年寄りが活躍できないからではないですか」(山口香氏)

つまり、スポーツ以外の世界がいまいちパッとしないのは、お年寄りが権力者としてのさばっているからだ。というわけですな。

明快な解答に、いたく感心いたしました。


老害になりたくない


そう聞いて、思い当たるふしがない人は少ないのではないですかね。

私だって、会社員時代を思い起こせば、理不尽に若手を押さえつけようとする上司や先輩の顔がありありと思い浮かびます。

私は生意気だったのか「おまえレベルのやつが意見するな」なんてよく言われました。

もちろん、こんな台詞を言うのは無能MAXの輩なので相手にする必要はないのですが、こんな人物のためにやる気をなくしたり、辞めてしまったりする若手がいることは機会損失以外の何者でもありません。

こんなアホ上司に耐えて意見のいえる立場になっている頃には、若手らしい発想は失っているかもしれませんからね。

とは言いながら、私も今は老害の年齢です。

若手を封殺するような真似はなるべくしたくないものです。


思い切って若手に任せる


どうすれば、若者の機会を摘み取ることなく、社会に貢献できるのか。

先月の勉強会における大きなテーマの一つでした。

一番いいのは、潔く後進に道を譲ることです。

会社は40歳定年にして、若手に活躍してもらいましょう。会社を傾かせるような大けがだけは避ける歯止めを作っておいて、あとは自由にやらせることがいいと思います。

明治維新の頃は、20歳代、30歳代の人が日本を動かしていたのだから大丈夫ですよ。年功という権威がなければ、能力のある人が表に出やすくなるはずです。

ただ、そうはいっても、少子高齢化の時代に、それは現実的な解決策とはいえませんね。

労働力が足りないので、60歳以上の人にも活躍してもらわなければいけません。20歳代から60歳、70歳、80歳代の人たちが共に働くような社会を実現しなければなりません。

私も今年60歳ですからね。まだ隠居するわけにはいきません。元気ですし。生活していかなければなりませんし。


多様性が組織の競争力になる


ということは、これからの社会は、老若男女がグラデーションを作って、お互い助け合っていくしかありません。

世代間、性差間の分断などあれば、社会は機能不全を起こします。

これでうまくいくという明確な処方箋がないので恐縮ですが、少なくとも、私のような年齢の者は、自分を過大評価せず、相手をリスペクトする姿勢を保ち続けたいと思います。

特に年齢や経験などというものを過大評価してはなりません。私の経験は、その時代に特有のものです。これからの時代に適用できるかどうかなどわかりません。

若手には若手の、女性には女性の経験があり、誰の経験がより有用かなど誰も決めることはできないはずです。

年齢や経験など関係なく、発想力、構想力、統率力、管理力、行動力、忍耐力、それぞれがお互いの能力を持ち寄って、最適なチームを作ることが重要です。

そうじゃないとこれからの時代の競争に生き残れないでしょう。

つまり多様性を認めることが、組織の競争力につながると考えます。


個人は弱者の戦略を学ぼう


私の場合、個人事業主なので、まだ自由です。生きるも死ぬも自分の差配次第ですから明快です。

大きな組織には大きな組織なりの、弱小個人には弱者なりの生きる方策がありますから、それを理解し、貫いていくのみです。

そういう意味では、弱者の戦略をどこかで学んでおくことは、大切なことなんだと思います。

誰に迷惑をかけることなく、気兼ねすることもなく、通用しなくなるまで、働き続けます。

日本酸素ホールディングス 国内ダントツトップでも問題は山積

日本酸素
日本酸素とは、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴンなど、空気中に含まれるガスを抽出して、様々な産業に供給する企業です。

こうした産業ガスは、鉄鋼、化学、医療などで広く使われるので、産業あるところ必ず需要がある縁の下の力持ちといった会社です。

この日本酸素、実は、私が昔、勤務していた会社でもあります。


日本国内トップ 世界4位


現在の日本酸素HDは、売上高1兆1867億円。日本ではダントツのガリバー企業です。

私が所属していた頃は、売上高2000億円程度だったはずなのに。。と驚いていると、この会社、2014年頃から急激にM&Aを繰り返し、今の規模になったようです。

背景には、産業ガス企業の世界的な再編機運があります。

なにしろ世界の産業ガス企業がデカい。

売上高1位のリンデは4兆3914億円。2位のエア・リキードは4兆1349億円。3位のエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズは1兆7518億円。

日本酸素HDは4位です。

4位に顔を出すまでになったことは素晴らしいと思いますが、上には上があるということです。


世界との差は大きく、課題山積


しかも、日本酸素HDは、規模拡大に伴う借入金が大きく、キャッシュフローが足りない。そのため、時価総額が小さく抑えられてしまっています。

利益率も低い。これは、ガスを販売するという旧態依然としたビジネスがまだ多いためで、他の大手のように、ソリューションビジネスへの対応が遅れている証でもあります。

大手3社は、日本国内にも進出していて、岩谷産業、伊藤忠商事、エア・ウォーターなどと組んで、それぞれ成長が期待される水素に関するビジネスを推進しようとしているようです。

産業ガス会社が規模競争に邁進するのは、それだけ成長が期待されるからです。特に水素関連ビジネスは需要が大きいと考えられます。

せっかくの日本企業なのだから、国内ではオール日本で頑張ってほしいものですが、三菱グループ枠内にとどまっていて、いまいち迫力がありません。

三菱グループ以外の有望企業にも、提携を進めていかなくてはなりません。営業戦略の再考が必要でしょう。

日本ではダントツ1位でも、安心する時ではありませんね。


サーモスの存在感


個人的には、私の古巣であるサーモスの存在感が大きいことを嬉しく感じました。

サーモスの売上高は約300億円。日本酸素HDの中では3%に過ぎません。

ところが世界シェアトップの実力があり、利益率は約20%とダントツに高くなっています。

なにより、世間的な知名度でいえば、サーモスの存在感は群を抜いています。

サーモスはまだまだ大きくなるでしょう。

世界シェアトップだからといってこんなところで満足せずに、さらなる高みを目指してほしいと思います。

阪神タイガースおめでとう日本一! 岡田監督を「孫子」で語る

阪神タイガース
皆さま、おめでとうございます!

ついに我らが阪神タイガースが、日本プロ野球の頂点に立ちました!

1985年、バース、掛布、岡田の時代から38年ぶりの日本一です。

何と素晴らしいことでしょうか。

38年前、私は大学生でした。まさかそれから還暦近くになるまで日本一を経験できないとは思っていませんでした。

日本一というのは、それほど難しいものなのですね。


そんな阪神タイガースを、1985年は主力選手として、2023年は監督として、日本一に導いた岡田彰布監督は、まさに日本一の名将となりました。

いろんなメディアで報じられていますが、とにかく今年の岡田監督の采配は、見事でした。

その能力は、日本シリーズでも遺憾なく発揮されて、さながら今年の阪神タイガースの集大成のようでした。

もちろん、パ・リーグを三連覇したオリックス・バッファローズの凄まじい強さがあってこそですが、このような充実した日本シリーズが見れたことを一野球ファンとして、素直に喜びたいと思います。

私は、野球評論家でもなんでもないただの阪神ファンですが、今回は、野球について語るのをお許しください。


岡田監督の優れた采配


たとえば、第1戦、機動力を武器とする阪神タイガースが、1回に盗塁を仕掛けました。走ったのは、足の早い中野選手ですが、若月捕手によって阻止されてしまいました。

今日は盗塁は難しいのかなと思った5回、普段は走らないスラッガーの佐藤選手が、意表をつく盗塁を成功させて、それをきっかけに先取点を奪いました。

第1戦、難攻不落といわれた絶対エースの山本が崩れたのは、この盗塁があったからだと言われています。

阪神の選手も山本の速球を捉えましたが、その前に、岡田監督の状況を読んだ見事な作戦があったことを忘れてはなりません。

ただし、それからは、殆ど盗塁を仕掛けさせず、送りバントやヒットエンドランに作戦を切り替えたのだから、現実を見ています。


あるいは、第4戦、どちらに転ぶかわからないシーソーゲームの8回、同点の場面で、湯浅をマウンドに送りました。

ご存知がどうか、湯浅といえば、WBCにも選ばれた剛球ストッパーですが、今年は調子が悪く、怪我もあって、殆ど活躍していませんでした。

その湯浅が現れたのだから、甲子園の盛り上がりは最高潮に達しました。

果たして湯浅はわずか一球で中川選手を抑え、2アウト1、3塁のピンチを切り抜けました。

この采配が、阪神に流れを呼び、結果として、9回、大山のサヨナラヒットにつながりました。


戦いは、流れを掴んだ者が勝つ


野球は「流れのゲーム」だと言われます。これは野球だけではなく、あらゆるスポーツや勝負事には流れがあります。

流れが悪い時には耐えて、流れが良い時にはそれに乗って攻めるのがセオリーです。

これは2500年前に書かれた中国の兵法書「孫子」にも「善く戦う者は、之を勢に求め、人に責めずして、之が用を為す」と書かれていることです。

つまり、戦争においても、勢いが最も重要で、軍隊の運用は、勢いを得るためにするという教えです。

その点、今年の阪神タイガースは、レギュラーをなるべく固定し、それぞれが役割を理解し、全うできるようになるまで我慢して戦いました。

岡田監督が「このチームはだんだん強くなる」と言ったのは、流れを呼び込み、流れを逃さないための態勢を作るからだと私は理解しました。


究極の軍隊は無形


これに対してオリックスは、レギュラーを固定しないことで有名なチームです。仰木監督時代の頃からそうで、中島監督もそれを踏襲しています。

これは戦いのセオリーに反するのかというとそうではなく、孫子の「兵を形すの極みは、無形に至る」という考えに則しています。

軍が決まった形を持たず、常に状況に応じて臨機応変に戦うことが、究極の姿であるということで、オリックスのやろうとすることはこれに近いものがあります。

要するに、阪神とオリックスでは、用兵へのアプローチが全く違う、真逆だったわけで、これも面白い日本シリーズになった要因だと思います。

レギュラーを固定し、選手に責任と自覚を求める阪神に対し、オリックスは当日になるまでスタメンが発表されないので、登録選手は常に緊張感を強いられます。

オリックスの選手はそのスタイルに慣れているので、いつスタメンに抜擢されても準備ができているといいますから、どちらの用兵が優れているかとは簡単に判断することはできません。


指揮官は、兵と距離を保て


ただし、優勝するようなチームは、どちらも選手把握がうまいといえます。

これも孫子ですが、兵卒に関しては、「卒を視ること嬰児の如し」(兵卒は、赤子のように可愛がれ)と言いながら、別の部分では「士卒の耳目を愚にし」(兵卒には、余計な情報を与えるな→ありていに言えば騙せ)と一見、矛盾するようなことが書かれています。

2500年前の書物を現代風にアレンジするにはいろいろ無理が生じるので、この矛盾については目をつぶる人が多いのですが、私は、この部分は、「上に立つ者は、部下を愛するが、よい距離感を保ち、緊張感を維持しろ」と解釈しています。

騙せというと不穏ですが、要するに、部下が力を発揮できるような環境やムードを作れということです。

そう考えると、岡田監督、中島監督、それぞれのスタイルで、選手といい距離感を持っているように思えます。

岡田監督について言えば、コーチを通じてしか選手と接せず、直接話すことは殆どないということです。

ただ、マスコミを通じて、個々の選手の評価を伝えることはあります。それがあまり辛辣だと阪神時代の野村監督のように選手の反発を招くかもしれませんが、今のところ、おじいちゃんのぼやき程度にとどまっているので、大事にはなっていません。

日本シリーズ第7戦に勝利し、マウンドあたりで胴上げされた岡田監督は、選手たちがまだ歓喜の渦に浸る中、ひとりで輪を離れ、ベンチに歩いていきました。

その姿を見た時、ああ、これが指揮官の距離感なのだと、納得し、何か感動のようなものを覚えました。


岡田監督、本当にありがとう。

マンガ市場が再拡大 最高値を更新

マンガ市場が再拡大


マンガ市場が拡大している


先月の「戦略勉強会」で取り上げた話題ですが、各出版社が、マンガ原作者を発掘しようと力を入れているようです。


出版不況の現在、いまさら何で力を入れているのか、と思っていたら、実は、日本のマンガ市場は拡大基調にあるようです。

それどころか、売上としては、過去最大を更新しているというから驚きました。

マンガ雑誌が売れなくなって、日本が誇るマンガ市場も衰退の一途を辿っていると、10年ほど前まで言われていたはずです。

いったい何があったのか?

その答えは、電子書籍の販売増加です。

マンガ雑誌が売れなくなった分、スマホでマンガを読むという行動が浸透してきました。

スマホで読むという行動は、習慣化しやすいので、毎日何時間も読むヘビーユーザーが登場します。

つまり、単価は下がっても、ユーザー数が増えているため、市場拡大に至ったというわけです。


スマホを舞台にプレーヤーが集結


成長市場には、多くのプレーヤーが集まります。

スマホマンガも多種多様、様々なマンガアプリが参入してきています。

紙のマンガ単行本と同じく、一冊いくらで購入できる電子書籍もあります。アマゾンが代表ですかね。

増えているのは、広告付きの無料マンガです。一日に読める量に制限があるものの、毎日少しづつ読むことを受け入れれば、無料で読むことができます。

ジャンプやマガジン、サンデーなどの大手マンガ雑誌は、こぞってスマホマンガに力を入れています。

またLINEマンガや、マンガBAN、ピッコマなど、雑誌を持たない電子書籍専門のマンガアプリもあります。

いずれも、広告付き無料マンガを展開しており、課金すれば制限なく読むスタイルにも対応しています。

スマホマンガでは、過去の名作なども扱っているので、私のようなオールドユーザーにも、馴染むことができます。

もっとも、マンガ作品には限りがありますから、各社とも新作マンガの制作に力を入れています。

この一気に増えた需要を満たすだけの作品を作るためにはどうすればいいのか。マンガ業界が見出したのが、原作と作画を分けるという分業化です。

以前から、原作者と作画者が違うマンガ作品はありましたが、各メディアは、この分業化こそ、質と量を追い求める答えだとして、特に原作者発掘に力を入れているというのが、この記事の内容でした。


スマホに適応するのか、しないのか?


この記事を読んで、マンガ業界の力強さを感じました。

紙の雑誌が売れなくなれば、それに代わるメディアをいち早く開拓し、対応するというのは、強い業界の特徴です。

同じく出版不況の煽りを受けている文芸書やビジネス書業界も、本が売れないと手をこまねいている場合ではないでしょうな。

マンガは、いち早く電子書籍シフトを果たしたので、文芸書、ビジネス書も続かなければなりません。

ただし、マンガも電子書籍化の過渡期です。

例えば、昔の名作マンガを読んでいると、見開きページというものが頻繁に登場するため、これがスマホでは実に読みにくい。

そもそもコマ割りというものが、紙の書籍で読むことを前提とした技術です。(一説には、手塚治虫が開発したものだとか)

スマホ画面では、コマ割りなど不要です。

LINEマンガやピッコマなど、韓国系のスマホマンガでは、コマ割りのない縦読みを前提としたマンガ作品を多く揃えています。

スマホメディアに適応するならば、この縦読み形式が、最適解です。

日本の大手出版社は、未だに紙の単行本でも販売することを念頭に入れているので、中途半端になってしまっています。

スマホに適応していくのか。それとも紙の形式を守るのか。いや、スマホの先の電子メディアに適応していくのか。

どのメディアに軸足を置くのかが、各社の重要な戦略決定となっていくことでしょう。

とは言いながら、悲観していません。

インバウンドには無限のチャンスがある

インバウンドには



日本の観光ポテンシャルは無限


先月の「戦略勉強会」で取り上げた話題ですが、インバウンドの様相が少しずつ変わってきているようです。


コロナ・デイズが終わり、インバウンドが戻ってきていますが、以前のような爆買いだけではなくなったという記事です。

日本独特の小さなスナックや、下町のお店などに訪れるインバウンド客が増えているそうです。

中国人の団体客が減ったということもあるでしょうが、それ以上に、通り一遍の名所めぐりに飽き足らない人が増えてきたということでしょう。

これはコロナ以前から言われていたことです。誰もが知っている観光地に行くことは、一度で充分です。

二回目、三回目に来る人は、プラスアルファを求めます。

だから通の客は、日本人でも知らないような秘境や、逆に、普通の生活空間に好んでいくようになります。

日本は、自然が豊かですし、文化も豊かです。受け入れ体制さえしっかりすれば、観光ポテンシャルは、まだまだ無限にあることを示しています。


普通のスナックにインバウンド客を呼び込む


記事によると、外国人の集団が、スナックに行って、皆でカラオケを熱唱するツアーが好評だとか。

仕掛け人となる運営会社が、インバウンド客を引きつれて、はしご酒をするようです。

最初は、躊躇していた外国人も、そのうち、歌い出して盛り上がるというから、カラオケの力恐るべしです。

皆で大きな声を出せば盛り上がるというのは万国共通ですな。

このツアー、東京でしかないようですが、大阪でもやればいいのにと思いますね。

今のところ、通訳してくれるガイドさんが必須ですが、同時通訳AIなどがもっと発達してくると、全国のあちこちで、インバウンド客の受け入れが進むでしょう。

そうなれば、観光地としての日本の人気は、もっと高まるのにと思いますね。

大阪の黒門市場が、インバウンド客に売れるものだからと値段を吊り上げ過ぎて、日本人客が来なくなったという話がありましたが、この記事のように、普段の営業に自然に外国人を呼び込むことが、ビジネスの可能性を広げる王道だと思いますね。


インバウンドは明確な成長産業


この他に、世界の富裕層を呼び込むような受け入れ体制が不十分であるとは、以前から言われていたことです。

欧州の貴族や、アラブの王族など、とんでもない費用を使える人たちが日本に来ても、行くところがないので、ホテルにこもりっきりだといわれています。

ところが、彼らが日本に興味がないわけではありません。日本は自然が豊かですから、行きたいところは多いはず。彼らを受け入れる移動手段や、宿泊施設、食事所が不足しているだけです。

海外では、無人島に数時間置いてきぼりにされるプランがセレブに人気だといいますが、日本なら無人島など無限にありますよ。

受け入れ態勢と発想の不足が、ビジネスチャンスを逃すきっかけになっているようですな。

その意味では、本物の城に宿泊できる洲本城などの取り組みは注目に値します。各自治体が、城のビジネス活用を検討しているそうですが、お役所仕事にせずに、柔軟に対応してほしいものです。


いずれにしろ、インバウンドは、明確な成長産業の一つです。

受け入れ体制を作るにせよ、新プランを作るにせよ、通訳ガイドするにせよ、ビジネスチャンスは無限にあります。

ローカル企業を極めんとするジャパネットに感心しました

ジャパネット


先月の「戦略勉強会」では、ジャパネットについて採り上げました。

テレビ通販で有名なジャパネットたかたです。

いまは、ジャパネットホールディングスが親会社となり、売上高は2487億円です。

ジャパネットといえば、前社長の高田明氏の名調子で知られています。

徹底した消費者目線で、メーカーが思ってもみないような切り口で、商品説明するスタイルが、消費者の支持を集めました。

しかも、高田明社長自身の独特の訛りのある甲高い喋り口調は、一度聞くと忘れられません。

一時期は、テレビやラジオで高田社長の声を聞かない日はない、というほどだったものです。


カリスマ社長引退後も業績拡大


いまは、ご子息の高田旭人氏が、ジャパネットホールディングスの社長を勤められています。

カリスマ社長が引退した後、どうなるのかと心配されていましたが、開けてみれば、売上、利益とも右肩上がりに伸ばし続けています。

現社長は、商品点数を10分の1以下に絞り込み、修理、取り付け、アフターサービスに力を入れる方針を打ち出しました。

カリスマ販売員だった高田明社長の代わりに、複数の販売員だけではなく、制作スタッフ全員で販促方法を考える体制をとっています。

現在のジャパネットの売上構成を見ると、テレビ通販は28%程度。カタログ通販は25%。それに比べてネットでの販売が約48%です。

かつてのように、テレビ通販で衝動買いを誘引するだけではなく、後で、カタログやECサイトを通じて購入してもらうビジネスモデルとなっています。

実際、現在の通販市場は、ネット販売が中心になっており、市場を拡大し続けています。

ジャパネットの業績好調の理由は、まさにネット通販に力を入れて、その市場拡大の流れに乗った結果だといえるでしょう。

ちなみに、通販企業の売上ランキングをみると、1位がダントツでアマゾン。2位はアスクル、3位はミスミ、4位がジャパネット、5位がヨドバシカメラです。

いずれもネット通販に対応した企業です。


スポーツビジネスに進出


2015年に引退した高田明前社長は悠々自適の生活を送っているのかというと、そうではなかったようです。

ジャパネットは、面白いことに、サッカーチームのVファーレンや、バスケットボールの長崎ヴェルカの経営に取り組んでいます。

またサッカースタジアムを中心とした長崎スタジアムシティの建設にも取り掛かっています。

突然のスポーツビジネスへの参入ですが、その道筋を作ったのが、引退後の高田元社長だということです。(現在は、そこからも引退しているようですが)

特に長崎スタジアムシティに関しては、約900億円の工費を自己資金と借り入れで賄い、25年かけて、回収する算段です。

ジャパネットは非上場企業ですから、その雄大な計画が成り立つわけですね。

通信販売の会社が、スポーツ事業に取り組む意図は何か。

これはつまり、長崎という地域を徹底して掘りつくすローカル企業になろうという意味です。


ローカル企業を極める凄み


せっかく通販4位の実績があるのに長崎ローカル企業を目指すなんて勿体ないと言われるかもしれませんが、私は、逆に感心しました。

日本経営品質賞の審査員を長く勤められた長田洋氏は、「生き残る企業の条件は、ナンバーワンの商品を持つか、ナンバーワンの地域を持つかである」と言いましたが、まさに、ジャパネットがやろうとしているのは、地域ナンバーワンの企業になろうとする試みです。

ネット通販の流れに乗って業績拡大し、余裕のあるうちに、地域ナンバーワンのローカル企業を目指すとは、実にしたたかで、かつ堅実な成長戦略ではないですか。

ここで、アマゾンを目指すなんてことを言っていたら、危ういなと思ったところですし、テレビ通販を極めるなんて言い出しても、テレビに伸びしろが感じられない現在、将来性の薄い戦略です。

最近では、BS放送局を開局し、航空機会社のスターフライヤーに出資したということです。

BS放送においては、通販番組だけではなく、スポーツ番組を放映する予定だそうですよ。

ここでもやはり、ローカル企業にならんとする意欲が見えます。

そう考えれば、海もあり、山もあり、歴史もある長崎のポテンシャルは大きい。徹底して、長崎にこだわってほしいと思います。

ここはハウステンボスも買収してもらいたい。

祝 カロリーメイト40周年

カロリーメイト

大塚製薬のカロリーメイトが、発売から40周年を迎えるそうです。

おめでとうございます。

何気に長寿商品だったのですね。


バランス栄養食


何を隠そう、私は、カロリーメイトのヘビーユーザーでして、これがなければ食生活が成り立たないほどです。

バランス栄養食と銘打たれたカロリーメイトですが、説明を読むと、11種類のビタミン、5種類のミネラル、その他、タンパク質、脂質、糖質をバランスよく手軽に補給できるという触れ込みです。

外食が多い身としては、栄養素をまんべんなくとれるというのは有難いことです。

忙しい現代人にとって、健康のために、必要な栄養を摂取することは、非常に重要です。

最近では、日清食品が、完全栄養食品というシリーズに力を入れています。33種類の栄養素を取り入れた、これ一つで一食分賄えるという完全メシシリーズです。

食事に楽しみを見出す方には味気ないかもしれませんが、私は、それ以上に、手軽に栄養の過不足を解消したいと思う性質なので、こういうコンセプトの商品は有難い限りです。

ただ日清食品の完全メシは、商品点数が少ないという難点があります。私はしばらく完全メシだけで過ごしていた時期がありましたが、流石に飽きてしまいました。

その分、大塚製薬が「あくまでも食事の補助」というカロリーメイトは、手軽で利用しやすい。他の食事と組み合わせることができるので、使いやすい。

まだまだ発売を続けてほしいと思う次第です。


前例がない商品


それにしても大塚製薬というのは面白い会社です。

1921年創業。現在の従業員数は5761名。売上高5970億円、営業利益1394億円。

大塚食品や大鵬食品工業、アース製薬などを傘下に持つ大塚ホールディングス(売上高1兆7379億円)の中核会社です。

その名の通り、主力事業は、医療関連事業ですが、もう一方で、カロリーメイトなどの一般食品も扱っています。

カロリーメイトの他には、ポカリスエット、オロナミンCドリンク、ファイブミニ、ネイチャーメイド(サプリメント)がその商品です。

大塚製薬が世に問う商品の特徴は、前例がないことです。

カロリーメイトにしろ、ポカリスエットにしろ、発売当初は、聞いたことのない不思議なコンセプトの商品でした。

ポカリスエットは、「発汗により失われた水とイオン(電解質)をスムーズに補給する」飲料です。なぜ、水ではなく、ポカリを飲まなければならないのか、と多くの人が思ったことでしょう。

カロリーメイトは、「バランス栄養食」。こちらも、未だにわけがわからないと思う人が多いのではないでしょうか。

これを商品に仕上げた開発部の苦労や推して知るべしです。

ただ、前例がないからこそ、商品が浸透した暁には、パイオニアになれます。

カロリーメイトにしろポカリにしろ、一つのジャンルを形成するに至り、フォロワー商品を多く呼び込みました。

ジャンルの裾野が広がる程、トップ商品の売上も拡大します。その上、トップ商品は、値引き幅が小さいので、利益が高くなります。

トップ商品は、そのジャンルがある限り、売れ続けるので、息が長い商品になることは必然です。


営業の苦労をお察しします


ただし、前例のない商品は、売りにくいという難点があります。

そりゃそうです。前例がないので、わかりにくい。売れ行きも読めない。説明しても、売れるかどうかわからない商品を積極的に扱いたいと思う小売店は多くありません。

カロリーメイトを浸透させるために、営業部隊は「語り部作戦」などと称し、スポーツ施設や学校などにプレゼンしてまわったということですから、その労力は並大抵のものではありません。

カロリーメイトやポカリのように、ジャンルを築くほどの商品に育ったから、営業の苦労も報われたというものです。恐らく、鳴かず飛ばずで消えていった商品も多いことでしょう。

大塚製薬の営業にだけはなりたくないと思ってしまいますな。

思うに、大塚製薬という会社、相当、トップダウンが強いのではないでしょうか。

こういう前例のない商品の企画を通すなんてこと、トップでなければできないでしょう。

もしかすると、かなりワンマンなトップが君臨する組織なのかもしれません。

あくまで個人の想像ですが。

そうだとしても、大塚薬品は面白い会社です。こういう会社もないと、日本の社会が面白くなりませんや。

同社には、これからも独自路線を貫いてほしいと思う次第です。

社会の変革期には、ビジネスチャンスがいくらでも見つかる

社会の変革期は

今月から「創業塾」の講師を務めています。

今年で9年目です。こうなるともうライフワークのようなものです。

私もいろんなセミナーや研修の講師をさせていただく機会がありますが、その中でも創業系の講師は、実にやりがいがあります。

受講される方が真剣だからです。大げさではなく、この講座に人生を賭けているという方がいらっしゃいます。

だから、私も、適当なことは言えません。緊張もしますし、それ以上にやりがいがあるというものです。


そんなわけで、創業者や創業希望者の相談を受けることも多いですが、その際に、アドバイスするのは、「まずはトップをとれるところに地盤を築け」「そのためには、小さな隙間を見つけよ」ということです。

創業者はすべからく「弱者」ですから、弱者の戦略が基本となります。

勝てる局面を見つけて、そこでトップになることは、弱者の戦略の根幹です。

その際、「そんな都合のいい隙間を見つけることなどできない」と多くの方が仰るのですが、そんなことはないはずです。

社会は、隙間だらけです。その気になれば、いくらでも見つけることができますよ。


人口減少は最大の社会問題


先々月、公的な研究所が、2070年、日本の人口は8700万人になるという衝撃的な予測を発表しました。

2070年というと、私はもうこの世にいませんので他人事のようですが、そうはいきません。

最初から8700万人の人口しかいない国ならいざ知らず、1億2千万人を抱えた国が、短期間で人口を減らすのだから、税収も急激に減ります。収入が減るのだから、支出も減らさなければならないわけですが、膨れ上がった社会基盤を急激に縮小するのは、非常に困難なことです。

当然、痛みを伴います。少しでも、その痛みを軽減するために、これから様々な施策が行われていくことでしょう。

施策といいましたが、実際には公的サービスの削減です。1億2千万人の人口を支えるための公的サービスを、8700万人仕様に縮小していかなければなりません。

財政破綻した夕張市をみればわかりますが、ゴミ回収から道路の補修に至るまで、削れるところはどんどん削られていきます。

あげく、全地域のインフラを維持させる費用がないということで、都市部に集中させようという大胆な施策をとらざるを得なくなりました。

いわゆるコンパクトシティ化というやつです。

地方創生などという余裕はなくなり、都市部に強制的移住を進められるかもしれません。

それでも充分ではないでしょう。働ける人が減るのに老人は減りませんから、年金財政が維持できません。破綻を避けるためには、受給年齢を一律75歳に引き上げるとか、そうでもしないともたない。どこかで、割を食う世代が出るのは必至という状況です。

いずれにしろ、人口減少は、日本だけではなく、世界の先進国における最大の社会問題です。


混乱にこそビジネスのタネがある


ビジネスは常に社会に寄り添うものですから、ビジネスをする上で、人口減少を避けるわけにはいきません。

端的に言うと、これから日本でビジネスをする者は、何等かの形で、人口減少問題に向き合わなければならないということです。


たとえば、現在、日本の政府は、外国人の受け入れを急ピッチで進めようとしています。人口減少を外国人の移民で埋めようということです。

そもそも2070年に8700万人という予測の中には、1割(870万人)の外国人が含まれています。

賃金水準の低い日本に、そんなに多くの外国人が移住するわけないやろ!という意見はありますが、まあ来ていただけたとして、当然ながら様々な軋轢が生まれることが予測されます。

言葉も文化も違う人たちが、870万人もやって来たら、それは混乱が起きるでしょう。

その混乱を和らげるためにしなければならないことは無数にあるはずです。

政府ができることはほんの一部です。痒いところに手が届くような施策は臨むべくもありません。

そこは、民間の役割です。

要するに、それらがすべて新しいビジネスのタネとなります。


少子高齢化に向き合う企業の事例


日経新聞を読むと、人口減少時代にビジネスするにはどうすべきか、という話がやたら多い。

先月の「戦略勉強会」では、そのいくつかをとりあげました。


こちらは、北海道のドラッグストア「サツドラ」が、過疎地で店舗を成立させるために、自治体と組んで、いつでも呼べるバスを運行させる実証実験を始めたという記事です。


こちらは、カラオケ機器の第一興商が、コロナ禍にもかかわらず、高齢者向けカラオケを伸ばしているという記事です。

まあ、どちらかというと、こんなこともやってますよというアピール記事ですから、このビジネスで成功したという景気のいいものではありませんが、こうした工夫は見習うべきでしょう。


自分だけの小さな隙間を見つける


社会が動く時には、無数の隙間が生まれます。

人口減少というのは、まさにこれから社会が激しく動く最大の要因です。これを捉えずして、いったいどんなビジネスをするというのでしょうか。

しかも創業者は、上のような大手企業と違って、固定費が少ないですから、遥かに小さな売上でも黒字にすることができます。

つまり、小さな隙間でビジネスを成立させるのは、既存の企業よりも創業者が圧倒的に有利だということです。

社会起業だとかSDGsだとか、大上段に構える必要はありませんよ。

常に、儲かるビジネスは、社会のニーズに則したものです。ビジネスを立ち上げ、維持することこそが、社会の問題に向き合っているという証左です。

ChatGPTを使い倒そう

chatgpt



ChatGPTの衝撃


今年前半のトピックとして、ChatGPTを外すことはできません。米オープンAI社が開発したこのサービスは、今年1月のダボス会議の話題を独占したと言われています。

ちなみにChatGPTとは、GPTという言語モデルを使った人工知能チャットボットのこと。生成AIといわれるものの一つです。

AI(人工知能)の進化は凄まじいものがあるのですが、これまで我々が目にするものは、画像や音声などを認識する認識AIと呼ばれるものが主でした。

それに対して、文章や画像、音楽などのコンテンツを作り出す能力を持つのが生成AIです。

例えば、「AIの将来展望についての800字程度の文章を作れ」と指示すれば、AIがその通りの文章を作成します。

特にChatGPTは、会話形式で応答するスタイルですから、ラインでチャットするような感覚で、対話しながら文章を作成してくれます。

この機能により、AIは各段に身近なものになりました。

専門家の中には「特段、優れた技術を使っているわけではない」という人もいますが、AIを一般ユーザーに広めた功績は大きい。

今や、生成AIといえば、ChatGPTが代名詞のような存在になってしまいました。


現在、ChatGPTは、GPT4という最新版のモデルを利用していますが、既にアメリカの司法試験を合格するレベルにあると発表されています。

AIにより、世界で3億人の人々が関わる仕事が自動化されると見られており、生成AIの市場規模は、2027年には16兆円に達すると予測されています。

オープンAI社には、マイクロソフトが出資しているので、この分野ではマイクロソフトが頭一つ抜け出した形となりました。

グーグルやアップル、アマゾンなどは、いま大慌てで、生成AIの開発を進めている状況です。


間違いを堂々と返答する


ただし生成AIといえども万能ではありません。膨大な知識をインプットしているにも関わらず、結構間違いが多い。

例えば「夏目漱石のおすすめ小説を教えてください」と聞くと「『こころ』という与謝野晶子との恋愛を扱った自伝的小説がお勧めです」などと返答がきたりします。

間違った情報を堂々と返答するのが特徴だと思いたくなるほどですな。

ただ、これを以てChatGPTは使えない、と判断するのは早計です。

「明日の朝礼で話す内容を考えてください」

「子供に読み聞かせる昔話を作ってください」

「新製品のプロモーション案を考えてください」

などと指示すると、それなりの文章が返ってきます。

あるいは、箇条書きの文章をいくつか示した上で、「この内容を1000字程度の文章に仕上げてください」と指示すると、きちんと仕上げてくれます。

どのような指示をするのかで、回答が変わります。当然、的を射た指示をすると、満足のいく回答が返ってきます。

要するに、生成AIを使いこなすコツは、いかに正確で的を得た指示をするかにかかっているということです。


AIのマイナス面


いま世界各国は、AIとの付き合い方を探っている状態です。

欧米各国は、わりと懐疑的です。

一つは、個人情報を抜かれる懸念があること。欧州は、この問題に敏感ですから、はっきりと禁止する国もあるようです。

あるいは、自国で開発する余地も残しておきたいという思惑もあるでしょうね。

卑近な話でいうと、AIが多くの人間の職を奪ってしまう可能性が取沙汰されています。

先ほど、AIは、世界で3億人の人々が関わる仕事が自動化されると述べましたが、端的にいうと、これら3億人が失業する可能性があるということです。

特に事務職や法律関連の仕事は、AIに置きかえられやすいといえます。

もっと壮大な話をすると、能力を途方もなく高めたAIが、人間を管理するようになるかもしれません。AIの決めたルールにしたがって生きる人類なんて、ディストピアSFそのものですが、高名な学者の中には、真剣に警鐘を鳴らす人がいるので、妄想だと一蹴するには重い話題です。

3月にはアメリカでAI開発を半年中断するように求める提言があり、2万5千人の署名が集まったといいます。


周回遅れの日本


そんな中、オープンAI社のCEOが来日し、岸田首相と面会していきました。

オープンAI社とすれば、欧米各国がつれないので、先進国の一つである日本に渡りをつけておきたいところだったのでしょう。

なにしろ、日本は、生成AIに関しては、周回遅れもいいところで、ChatGPTに対抗する技術を開発しようという機運さえありません。

オープンAI社が、取り込むにはい相手だといえるでしょう。

ただ、日本側からすれば、周回遅れだからこそ、ここらでオープンAI社を受け入れて、周辺技術に開発能力を集中し、一気にAI大国になろうというやり方は、ないわけではない。

オープンAI社は「日本人のChatGPTの使い方は独特だから、自分たちも驚いている」と述べています。

まあ、半分はリップサービスでしょうが、Twitterなどに毎日のように投稿される「ChatGPTへの有効な質問例」を見ていると、さもありなん、日本人の現場能力の高さを垣間見る気がします。


子供から機会を奪うべきではない


一部、「自分の頭で考える能力が低下するので、AIは使うべきではない。少なくとも、子供には使わせない」という声があります。

主義主張は自由ですからいいですが、少なくとも私はそういう態度はとりません。もう既にAIは世の中に存在するのですから、なかったことにして過ごすのは「スマホを使うな」「家電製品を使うな」「自動車を使うな」などと言っているのと同じに聞こえます。

AIのリスクを軽視するわけではありませんが、だからといって忌避するだけでは、責任逃れにしかなりません。

それならば、AIとどのように付き合うのか、どのように使えば自分の生活をよりよくできるのか、あるいは何が危ういのかを考え、正しく理解する方がまっとうです。

特に私のようなリタイア間近の人間ではなく、柔軟な頭の子供こそAIを使うと、仕事や生活をアップデートする方法を見出すはずです。

その機会を旧弊な人間の思い込みで阻害すべきではないと考えます。

少なくとも、私は、若い世代の邪魔にならず、少しでもついていけるように、ChatGPTを使い倒してみようと考えています。

プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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